第120話 砦での準備
「ニアミッラ、おはよう!馬は?」
「え?馬車でないのですか?」
合流したニアミッラは1人で騎乗できないとのこと。
「じゃあ俺と」
「いやカントリオ、待て。ここは年長の俺が」
「いやいや」
と誰が相乗りするか揉め始める。
「うーん、これからのリブレント王国との戦争で俺たちと行動を共にするならば、ぜひとも騎乗できるようになって欲しいよな」
「かしこまりました。機会がなかっただけですので、これから頑張ります!」
さっそく従魔屋に行きバトルホースと馬具等を調達し、王都の外まで出る。ここまでの移動においては、ゆっくりした移動でもあり、早く話を進めるためシュテアが相乗りしていた。
「じゃあここからはフィロが教えてあげるね」
「いや、フィロでは体格が小さいだろう?俺が教えるよ」
「カントリオ……」
フィロのご機嫌取りをカントリオが苦労している横で、結局はシュテアが中心に残りのメンバがニアミッラに教えることになった。
そのようなドタバタがあったので、最初の野営までは特に考える必要もなかったが、夜の自主訓練の際にベラから相談を受ける。
「レオ様、彼女の前ではいつもの魔法の習熟訓練は控えた方が良いでしょうか?」
「うーん、そうだね……いや、やはり自国の仲間だし、やり方も教えて一緒に訓練しよう」
まだまだ初級であまり使える魔法もなく、詠唱も行いながらであったニアミッラに対して、空の魔石への魔力操作や、触媒やスクロールを用いた魔法習得の秘密を彼女にも教える。
「レオ様!これは!こんな秘密を教えて貰って良かったのでしょうか!?」
「うーん、敵には漏れないように気を付けてね」
「はい!もちろんです!それにレオ様に一生ついていきます!」
「いや、それは良いから……」
「レオばっかり。俺たちも負けていられないぞ!」
「そうだ、俺たちも魔法をたくさん習得すればモテるかも」
「頑張るぞ!」
「フィロはもっと先に行くように負けないからね!」
それぞれがやる気を出してくれるならば、動機や細かいところは気にしないよう割り切る、と自分に言い聞かせるレオであった。
そのおかげか砦に到着するまでに、レオは上級体術≪縮地≫、ベラとフィロが上級風魔法≪雷撃≫、シュテアが各種初級魔法の≪風刃≫≪砂生成≫≪灯り≫≪夜目≫、エルベルトが≪火炎≫≪氷刃≫、カントリオが≪火炎≫≪水生成≫、メルキーノが≪種火≫≪氷刃≫を習得することができた。同様にニアミッラも無詠唱のやり方に慣れた上に中級魔法も習得することができた。
ますます他に漏らすことは出来ないことを認識したところへ、エルベルトたちに聞いたニアミッラからの申し出で≪簡易契約≫も行う。
砦に到着すると、レオの濃紺ローブや仮面を認識していた者もいたが、やはり同行して貰って居た王国魔術師隊の女性隊員ニアミッラの紹介が一番効いたようで、レオ達は特に問題なく受け入れられることができた。
前国王の最後の地になったこの砦、最後に宝物などと一緒に燃え盛った上に崩れた経緯があったので、あまり防衛のためというより、埋もれたり溶けたりしたであろう宝物の採掘のための人員と、盗難防止のための護衛の人員が主であった。もし間道からの少数とはいえリブレント王国からの軍勢が来た場合に持ちこたえるのは厳しいと思われる。
とりあえずとして、レオが≪石壁≫を用いて砦の外壁を強化し、ベラとフィロが≪土壁≫の応用で堀を深める。
ある程度、外壁と外堀の対応が終わると、レオ、ベラ、フィロの3人には土魔法≪粉砕≫による崩れ落ちた地下道の掘削作業の手伝いを希望される。ニアミッラとシュテアは、自分たちも役立ちたいと土魔法でも≪粉砕≫は初級魔法であるので何とか習熟し、2人もその手伝いを開始する。
エルベルトたちは、この砦のことを知らないこともあり、構造の把握を兼ねて周りの巡回を実施する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます