ラブコメ!

いきなりキス………接吻、口付け……とにかく唇と唇が触れ合った。


「う………んっ!」


子供とは思えぬ艶かしい色っぽい濃厚なdeep kissを場外でしやがりました。せめてもの救いは、観客からは助け起こしているように見えていた事だろう。


「ぷはっ!?何を!?」


流石の冷静沈着なレインも咄嗟に離れて、自分の唇を触る。シンリュウは手を頬にあて、舌を出して唇を舐めてご馳走といった。


「うふふ……照れた顔も可愛いのぅ♪」


女の子から女の顔になったシンリュウを見て、レインは背筋が寒くなった。


「ぶ、無事のようなので僕はこれで!」


逃げるようにレインは選手の通路口から控室へ戻っていった。



ここで少しだけ時間は遡る。


レグルスとスピカが両者ともノックアウトした後、二人は控室へ連れこられ治療を行った。


「もう大丈夫です。特に怪我はありません」

「私も大丈夫ですわ。ありがとうございました」


治療スタッフにお礼をして後にしようとしたレグルスに、スタッフが声をかけた。


「あの、すみません。もし良かったらシオンご令嬢に声を掛けて頂きたいのですが……」


「シオンに?」


レグルスとスピカはお互いに顔を合わせる。


「負けたのがショックで、ふさぎ込んでいるのです。出来れば元気付けて上げて下さい」


スタッフの言葉に驚いた二人は、すぐにシオンの所まで向かった。


「信じられない。あのシオンが予選敗退なんて………」

「ええ、シオンは総合力で私達の上をいっています。あのシオンが負けたなんて!?」


こうしてシオンとあった二人は、あのうざいシオンを何とか慰め、レインの試合を見に連れ出事に成功したのだった。そして、レインとシンリュウの激戦をその目でみて、気持ちを持ち直したのだったが………

シンリュウとレインの接吻を控室の通路側から目撃し、また脳内がパンツ……じゃない、パンクしたのだった。


「シオン!レグルスも!?」


レインを見る視線は様々だった。


「お兄様!!!えっちぃのはダメだと思います!」


「僕は無実だ!向こうから急にき、キスをしてきたんだ!」


顔を真っ赤にして反論するレインに反論を許さなかった。しかし、後ろからシンリュウも控室へ戻ってきた。


「騒がしと思ったら、なんじゃ?お主ら兄妹だったのか?」


悪びれる事もなく、話し掛けるシンリュウにシオンが吠える!そう、子犬の様にキャンキャンと……


「この泥棒猫め!お兄様の純血を奪った罪は万死にあたいするわ!覚悟は良いかしら?」


ゴゴゴゴッ!!!


「ほほぅ!妾に試合開始、直後に場外負けした、お主にそれが出来るかのぅ?未来の義姉に勝てると思うてか!?」


ゴゴゴゴッ!!!


「誰が義姉よ!認めないわ!」


一触即発の状況に、セレスの声が響いた。


『この気配は………あなたはリューシン?』


セレスはシオンの身体から半透明な状態で出てきた。


!?


「セレス!どういうことよ!」


『いえ………神族の気配がするので』


一斉にシンリュウを見た。


ジーーーー!

(ジトーーー!)


まさか、あの脳筋女神様が………ね?


「惜しいのぅ!妾は女神リューシンの娘じゃ!」


!?



なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!



!?



『あ、ありえないわ!!!あの脳筋女神リューシンに娘ですって!!!そ、そんな…………まさか…………先を越される………なんて………』



セレスがガックリと、膝を付いて頭を地面に着けた。おい!セレスも脳筋女神っていってるじゃん!


しくしくしくしくしくしく……………


あっ!マジ泣きしてる。


「そ、それで女神リューシン様のお相手ってどこの神様なの?」


ガバッ!?


セレスが物凄い勢いで立ち上がった。


『誰っ!!!?』


「め、目が怖いのじゃ!!!?相手はおらぬ!母体が封印されておるので、記憶と能力の一部を宿した分身体じゃ!」


セレスの血走った目と殺気に気圧され、ゲロりました。


『ふふふっ♪そんな事だと思ったわ!」


勝ち誇った様にセレスが高笑いした。珍しい………そんなに先を越されたのが悔しいのか。


「くそぅ!母体が退屈して暇じゃから、妾が産み出されたのじゃ!文句あるかっ!」


いいえ!ありませんよ!ってか!?


「そんなのはどうでも良いから!どうしてお兄様とキスしたのよ!」


「まがいなりにも、勝利の女神に勝ったのじゃ!惚れるのは当然じゃ!」


いやいやいやいやいや!!!!!?


「その結論はおかしいだろう!?」


「本気で拳を交えて、そして思いっきり負けてみて気付いたのじゃ。妾は母体から受肉して、人と同じく成長をしてゆく。レインをみると胸がドキドキするのじゃ!」


「えっと………シンリュウ様?」

「様は要らぬ。それにリューシンからシンリュウともじっただけじゃ。偽名じゃよ」


「それでは本当の名前は?」

「妾にまだ名前はないのじゃ。レイン、妾に勝利した御主が名前を付けてくれぬか?」

「よろしいのですか?」


「かまわぬよ!」


レインは少し、考えて答えた。


「カレンはどうでしょうか?君は【可憐な乙女】みたいですから。それに結婚して名字がカレン・アクエリアスってなっても、ごろが良いですしね?」


ボッン!


【カレン】と名付けられた女神リューシンの分身体は、顔を真っ赤にして頭から煙を出して倒れたのだった。


この場にいた一同は思った。



『『『お前はどこぞのホステスかよ!?』』』



この歳で、たらしにもほどがある!!!と思ったのでした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【後書き】

愚者の声

「レインめ!たらしは死ぬべし!」

(*`Д´)ノ





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