油断は死を招く教訓!(活躍が……orz)
なんやかんやで、武道大会の日になりました。
「う~ん………!」
馬車に揺られて2時間、ようやく会場にたどり着いて、う~んと伸びるシオン達。
「さて、シオン勝負だぞ!」
「ええ!決勝まで勝ち残ってきなさい!」
『シオン、決勝前で当たる可能性もあるんだぞ?』
レインは心でツッコミを入れた。
会場は大勢の子供達で溢れていた。中にはすでに泣いている子も入れば、緊張している子など様々だった。
「おーい!抽選のクジを引くぞー!」
「「「はーい!」」」
抽選の結果は見事にバラバラとなりました。各ブロック別に別れており、A、B、C、D、の4ブロックとなって戦うのです。
「私がAブロックでレグルスがBブロック、お兄様のレインがCブロックですね!」
「この各ブロックの上位が勝ち抜け、決勝戦を戦うのですね。燃えるわー!」
「お兄様!お久しぶりです!」
スピカ王女がやって来た。
「おう!ってか、つい最近会ったような?」
「そんなことはどうでも良いのです。さぁ!勝負ですわ!」
相変わらず勝負好きの脳筋思考は変わらないよね!
「私もBブロックですのよ!楽しみにしてますわ!」
「ああ!俺も楽しみにしてるぜ!」
一言、挨拶をしてスピカ王女は去っていった。
その様子を見てシオンもやる気が上昇して、初めての大会にヤル気満々のシオン!
ドンッ!?
「きゃっ!」
急に振り返ったシオンに参加者らしき女の子がぶつかった。
「ご、ごめんなさい!大丈夫?」
「うむ!大丈夫じゃ!妾も修行が足りんのぅ。お主の行動が読めなんだ」
やけに年寄りじみたしゃべり方をする、同年代の女の子だった。
「僕の妹がご迷惑を掛けました。本当に大丈夫ですか?」
「本当に大丈夫じゃ!こちらこそすまなんだのぅ。では、『また』なのじゃ!」
そういって女の子は去っていった。
「シオン!はしゃぐのは試合中にね?」
「……はい」
いきなりテンションが下がってしまったぞ?
「まったくシオンはいつもトラブルを起こすよな~?」
いつも通り、レグルスが一言余計な事を言ってシオンに蹴られるのでした♪
『おい!そこのナレーション!嬉々として書くなよ!?まるで蹴られるのが嬉しそうみたいに聞こえるだろうが!』
嬉しく………ないの?
(しょんぼり……)
・
・
・
・
・
・
・
・
「さぁ!これからの次代を担う子供達の、武道大会が始まりました!これからの試合が楽しみですね!さて、ルールの説明を致します。武器は木刀など木で出来た物で戦います!魔法は自由です!そして、大怪我をしないように【結界のブレスレット】を着用します。これは直接の攻撃が当たっても衝撃を吸収してくれるので、大怪我の心配はありません。しかし、耐久が0になると壊れてしまい、そこで敗北となってしまいます!」
『へぇ~なんのマジックアイテムかと思ったら、簡易結界を張ってくれるんだ!便利じゃん!』
「敗北条件は、ブレスレットの【破壊】、【降参】、【気絶】、【場外に落ちた時】が敗けとなります!」
試合会場は石畳の、正方形の形をした100メートル四方の大きさだった。
「参加人数が多いため、最初はバトルロワイヤルだーーーーーー!!!!!」
試合フィールドに20人ほどの子供達が集まっていた。
『う~ん………ざっと見てみると大した強さの子供は居ないな~本気を出すと怪我させちゃうかもだし、手加減して場外にでもだそう』
シオンはハイレベルな修行をしており、確かに強くなっていた。よって、目の前の子供達とは大人と子供のような強さの差が確かにあった。
故に気付かなかった。気配を消して強さを隠していた者に………
本来であれば油断せず対面していれば気付けたのだが、子供達に怪我をさせないよう胸を貸して上げる。みたいなノリで微笑ましい感じで、完全に油断してしまったのだ。
「準備も整ったようなので始めます!それでは、王都武道大会・子供部門!始めーーーーーー!!!!!」
司会のお姉さんの合図に、各ブロックで一斉にバトルが始まった。
「さーて、怪我させないように場外敗けを狙って…………っえ?」
自分で独り言をいっている最中に、シオンの視界が逆転し、気付いたら場外に投げ飛ばされていた。
ドサッ!?
「ぎゃっふん!」
地面に叩き付けられたが、ブレスレットのおかげで痛くは無かった。
「ふぇ???…………何が?」
何が起こったのか分からず呆然とするシオンだったが、フィールドの上から声を掛けられ我に返った。
「1番の強敵は真っ先に狙うべしじゃ!」
そこには先ほどぶつかった女の子が立っていた。そしてようやく自分が場外に落とされた事に気付いたのだった。
「わ、私が場外敗け!?嘘でしょう!!!」
信じられない状況にパニックになるがどうにもならない、後の祭りである。
「クックックッ!油断大敵じゃぞ?実力あるからと自分を特別と思ったらダメじゃ!これが【死合い】なら気付かない内に死んどるぞ?よい教訓になったのぅ?」
ぐうの音もでない説明にシオンは試合の経過を眺める事しか出来ないのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「シオンの活躍はもう少し先になります。ドンマイ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます