頭上で回るは観覧車
新吉
第1話 頭上で回るはブルー
青い衝撃
彼らは青空をぐるぐる回る。
お母さんは空が好きだ。昔はもっと広くて青かったのに。空にも人が住むようになるなんて、とよく言う。私が生まれたときには空の上には空の国はあった。私にとって空は、ちゃんと広くて青いものだ。
ブルーは青い空に白い線を描いていく。彼らはお母さんの若い頃から飛んでいて、今もまだ飛んでいる。いつものように青空の時は練習し、記念式典の際には円や模様を描いてくれる。運がいいと時々見える。彼らは空の飛行場から飛び立つ。地上にも別部隊がいるようだが、私にはそこまでわからない。
空の上での暮らしはどんなものだろうと、時々想像する。私たちの昔の人と空の上の人たちが喧嘩をして戦争になってそしてわかれた、それだけだ。そう管理人さんからも教えてもらった。あんなでかい建物やら植物やらが空に浮かんでいるのは、そりゃもうばかでかいエネルギーが必要で。それから先の話は難しくてわからなかった。わからないから話してくれる。風も雨も雪も日差しも紫外線もどんどん強くなっているらしい。
「まあ、いつかまた地上に戻るだろうよ」
それが100年後か、1000年後かまたは明日か。理解が追い付かない私の瞳をじっくり覗き込んでから、彼は帰っていった。それは管理人さんのいつもの仕事だ。
「またね」
管理人さんは空の人だ。だけどいい人だ。空から下に来て仕事をしているのは彼らしかいない。
私たちはそうして空に管理されている。
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