和解



「それは…見過ごせないな。人を困らせて、周りを不幸にするのが君のしたかったこと?」


 ふいに届いた彰さんの声にハッとする。女子の方は今にも泣きそうな顔をしている。

 聞いてなかった…どういうこと?


「ごめんなさい…ごめんなさい…だって、好きだから!…困らせたかったの」


「そうか…でも、それを言いふらすと君が好きな人はある事ない事言われて苛められるかもしれない。傷ついてもっと嫌われちゃうよ?そのことをしっかり考えるといいよ。知ってしまったことは大事に閉まっておくこと。約束してくれる?」


「はい…ごめんなさいっ…」


「よし!いい子だ。この話はこれで終わり。落ち着いたら出るといいよ」


 何やら話がついたようだ。彰さんに女子についているよう言われたので彰さんが帰ったあとも残る。


「…これ、使えよ」


 ハンカチを渡す。腕の中に顔を埋めて静かに泣いていた女子が顔をあげて受け取る。


「…ごめんなさい…嫌いになった、よね…」


「別に…もともと女子苦手だし。俺、さっきの話し合い、あんま聞いてなかったんだけど」


 別に知りたいとも思わないけど。後の方の会話だけで何となく察しはつくし。


「あ、それは…私も忘れるし、だからもう…」


「分かった。…まぁ、許したわけじゃないけど、変な真似しないなら仲良くしてやってもいいよ。…もともと友達もいないしな」


「ふーん…じゃ、なってもいいよ、友達」


「あっそ」


 女子と会話するのなんかあんまりないから何話していいか分かんな…。名前も知らないし。

 人に興味なさすぎた罰かな。これでも進歩した方でしょ。それにしても、友達1人目が女子って。どこのラブコメ漫画の男だ?


「ねぇ、さっそく今日一緒に帰ろうよ」


「あー、ごめん、それだけは勘弁して。付き合ってる人に女子といるとこ見られて嫉妬されたことあるし。友達でも相手にそれが分かるんけじゃないし、嫌な思いはしてほしくないしね」


 ヤキモチ焼いてた真琴さん、可愛かったって言ったら怒るから言わないけど。結構思い詰めてたみたいだし。


「え、彼女いるの!?言ってよ〜、あたし、すごい邪魔してるじゃん!」


 邪魔って初めにも言った気がするけどな。


「女子の友達って面倒くさいな…浮気じゃないって分かってるけど、やりにくい。あのさ…学校限定にしない?」


 せっかく友達なるって言ってくれたからな、断りたかったけど。


「別にいいけど…すごい大好きなんだね、その人のこと」


「うん、愛してる」


「羨ましい。そんなに思える人がいるって。あたしも出来るかな…」


「さぁ…でも、大丈夫じゃない?あんた、ちゃんと謝れる人じゃん。悩みとかあるなら相談くらい乗るし。…友達だし」


「あは…何それ。でもありがとう。真中の相談も乗るからね。…友達だし!」


「どうも。…てかそろそろ戻ろ」


 思いがけない展開に自分が一番驚いてる。女子と戻りながら、彰さんが真琴さんに今日のことを話すのかどうかがずっと気になって後のことはあまり覚えていなかった。




〜〜〜〜〜〜〜


作者より


ケータイ小説向けに読みやすく改行を増やしてみました。今後もこのスタイルで行くかは読者さまのご意見で決定したいと思ってます。感想欄でご意見お聞かせください。また素直な感想を聞かせてもらえると創作意欲の向上、創作の励みになります。

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