両想い


恥ずかしい…こんな泣いちゃって。

もう泣く歳でもないのに。

だけど、止まらない。

「いやなんだ、みはる…だって…付き合ってもないのに、こんな…キスなんて…俺、今日…頑張ろうって思って…ひっく… 」

「…あ、ごめんね…真琴さん、僕自分のことしか考えてなかったんだ、会ったら気持ち高ぶっちゃって…。恋人じゃないのに、キスしちゃダメだよね。ちゃんと聞く」

恥ずかしい、本当にこんなことで泣いてしまうなんて。バカみたいだって思われた。そんなことって笑われてもおかしくないのに。

「…き」

「え、なんて?」

「す、す、すー…ぅ」

あれ?なんで?

「からかったりしないよ、ゆっくりでいいんだよ」

そっか、俺、怖かったんだ。

三春が大丈夫って言うなら大丈夫。

言えよ、俺。

「…………きだ…すきだ!」

「真琴さん!本当に!?付き合ってくれるの?」

「あ、あぁ」

「良かった…子供だからって見て貰えなかったらこの前みたいしちゃうとこだった…」

え…それはいわゆる身体で覚えろとかいうやつでは…。危なかった…二度も過ちを繰り返させるとこだった…!

この前、三春が本意じゃなかったと苦しそうにしてたのを思い出した。

さっきのキスも手っ取り早く…みたい感じか。

「ごめんな、ちゃんと好きだから。三春が好きだ。男として…」

「真琴さんって…本当に…敵わないですね」

「どういう意味だよ」

「大好きってこと。真琴さん、部屋案内してください」

「わ、分かった」

くそぉ…なんか、負けた気分。

妙に大人っぽいというか。

「真琴さん、お昼どうしますか?」

「ん、何でもいいけど…俺作ろうか?」

「え、作れるんですか?」

「たいしたもんは出来ねぇよ、男のガサツ飯だよ」

「食べたい」

「っ…分かった」

なんだよ…急にドキッとするような言い方しやがって。

部屋に入ってしばらく珍しそうに観察してたけど、落ち着かなくなったのかベッドに腰掛けてからは俺をチラチラ伺うようになった。

気づいてないと思ってんのか。

さっきからチラチラ見やがって…恥ずかしいだろ。ついに三春と目が合った。

あ…待って、これは…まずい。

「真琴さん、顔、赤いですよ?」

「うるさい!見んな」

「真琴さん」

三春の手が膝を撫でてきた。

何してんだ!?誘うようなことすんなよ!

「やめろよ、犯すぞ!」

三春の両腕を掴んでベッドに押し倒した。


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