第238話 勝負の後のイチャイチャ
さりげなくミミちゃんの腕に抱き着きつつ、コメントに目を向ける。
『おめでとう!』
『おめでとー』
『おめでとうございます!』
『ユニコちゃん惜しかったよ』
『手に汗握る戦いだった』
ミミちゃんに対する称賛の言葉が溢れ、あたしを労うコメントを送ってくれる人もいて、この対戦企画を楽しんでくれたことが伝わってきた。
もちろん悔しさはあるけど、晴れやかな気持ちで負けを受け入れられる。
花が咲いたような笑顔を浮かべるミミちゃんに勝利の感想やヒヤッとした瞬間なんかのインタビューをした後、あたしも全体を通しての感想を話した。
最後にゲームとは関係ない雑談をちょっとだけ挟んでから、エンディングのあいさつに移る。
「ってことで、今日はこの辺で終わるよ~」
「長時間付き合っていただき、ありがとうございました」
「またこんな感じの企画やると思うから、その時もよろしくね! それじゃ、おつユニ~!」
「おつユニですっ」
配信が終了したのを確認してから、「ん~っ」と声を漏らしながら両腕をグッと上に伸ばす。
「ふい~っ、さすがに目が疲れちゃった」
「ユニコちゃん、腕枕どうぞっ」
ローテーブルの空いている場所に、ミミちゃんがシュッと腕を伸ばした。
その瞳は無邪気な子どものようにキラキラと輝いている。
「ミミちゃん、気が早いよ~。腕枕は寝る時って話だったでしょ」
「そ、そうですよね、つい興奮しちゃって。えへへ」
「かわいすぎる!」
あたしは問答無用でミミちゃんを抱きしめた。
いつもなら座りっぱなしで固くなった体をほぐすところだけど、今日は後回しにする。
誰になんと言われようと、現状においてミミちゃんを抱きしめる以上に優先すべきことなんてあるはずがない。
ミミちゃんもそれに応じて、そっと背中に腕を回してくれた。
ミミちゃんの温もりと匂いが持つ癒しの効果は凄まじく、真剣勝負によって溜まった疲れがあっという間に和らいでいく。
「ユニコちゃん……キス、してもいいですか?」
「ぴゃ~~~~っ!」
熱い抱擁と共に耳元で囁かれた大胆な言葉に、あたしは思わず奇声に近い悲鳴を発してしまった。
興奮のあまりうまく言葉が出てこなかったけど、あたしの返事はもう決まっている。
見つめ合いながら、引き合うように唇を近付けていく。
この後あたしとミミちゃんは、小さい子に見せられないような濃厚極まりないのを含め、いろんなキスを心行くまで堪能した。
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