第214話 雨の日の運動①
今日は朝から近所の公園で運動する予定だった。
軽くジョギングしてからバドミントンをするつもりだったんだけど、起きてみたらあいにくの大雨。
珍しくその日の思い付きではなく前日から計画を立てていたのに、天気予報のチェックを忘れるという初歩的なミスを犯してしまった。
朝食を済ませたあたしとミミちゃんは、ソファに腰かけて白紙になった予定について考えを巡らせている。
「今日は夜まで降り続けるっぽいね~」
スマホで今日の天気を調べたところ、日暮れ頃から徐々に落ち着いてくるらしい。
小雨ならともかくけっこう強めに降ってるから、外出は控えた方がよさそうだ。
代替案として買い物も候補にはあるけど、わざわざ大雨の中で買いに行く必要がある物は特に思い浮かばない。
「残念ですけど、公園はまた後日ですね」
「体を動かしたい気分だったんだけどな~」
そう言いもってスマホを適当なところに置き、ミミちゃんの腕に抱き着く。
まぁ、外に出れないなら出れないで、こうしていつも通り存分に甘い時間を楽しめばいい。
「家の中で体を動かすとなると、筋トレはどうですか?」
「筋トレか~。筋トレ……うんっ、いいね!」
あたしたちは運動不足を嘆くほど運動量が少ないわけではないものの、筋肉を鍛える目的で体を動かすことはほぼない。
善は急げと立ち上がり、我が家において最もスペース的に余裕のある和室へと移動。
ケガを防ぐため、一応布団を敷いておく。
普段自室のベッドで寝るあたしたちが和室に布団を敷くのは、主にエッチする時だけだ。
いまから行うのは筋トレなのに、なぜか胸がドキドキしてしまう。
「こうしてると、いまからエッチするみたいだよね~」
「そっ、そうですね」
想像して照れてしまったのか、ミミちゃんの顔があっという間に赤くなる。
「間を取って、エッチな筋トレとかどう?」
「ふざけてるとケガしちゃいますよ。そもそも、エッチな筋トレってなんですか」
「ごめんごめん、ちょっと冗談言ってみただけ」
「それじゃあ、さっそく準備運動から始めましょうか」
「うんっ。せっかくだから、ラジオ体操やろうよ! うろ覚えだけど」
「ラジオ体操って聞くと、学生時代を思い出しますね」
「確かに、大人になってからは全然やらなくなったかも」
そんなことを話しながら、スマホでラジオ体操の動画を探す。
ミミちゃんと一緒に動画を何度か見返して眠っていた記憶を呼び起こし、体がぶつからないよう適度に距離を取って立つ。
音声を再生して実際に始めてみると、想像以上に体がスムーズに動いてくれた。
動画を見たおかげでもあるけど、自分が思っていたよりラジオ体操の動きが体に染みついていたらしい。
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