第193話 夏の大型コラボ!⑥

 三期生と一期生に勝ったことで、大会は二期生の優勝という結果になった。

 とはいえ、この大会は総当たり戦でもあるので、あと一試合残っている。

 あたしとミミちゃんは未対戦である一期生対三期生の試合を実況するため、勝利の余韻に浸りながら実況席に着く。

 選手から実況者へと気持ちを切り替え、ミミちゃんと共にコメントを拾いつつ試合の様子を実況する。

 つい先ほど試合が始まり、ちょうどいまシャテーニュ先輩が先制点を入れた。


「記念すべき一点目を決めたのはシャテーニュ先輩! スノウちゃんが懸命に追いかけたけど、惜しくもあと一歩間に合わなかった~!」


 スポーツの実況に関しては完全に素人だけど、目の前で繰り広げられている熱い試合を言葉にしてリスナーさんにお届けする。

 点を取って取られての接戦が続き、手に汗握る熱闘は今日の最長試合時間を更新した。

 両チームが勝利に王手をかけた状態で最後のラリーが始まると、目を離せない激しい攻防にうっかり実況するのを忘れてしまいそうになる。

 選手の表情、動き、ボールの行方などの目に映る情報を、ミミちゃんと二人で感想や分析を交えてリスナーさんに伝える。

 コメント欄にも応援の声が溢れる中、その時は唐突に訪れた。


「決まった~! 本日ラストの試合となる一期生と三期生の対決、長い長いラリーを制したのはエリナ先輩の一撃! 鋭いスパイクが後輩への洗礼とばかりにコートのド真ん中に叩きつけられた~っ!」


 ネココちゃんとスノウちゃんの連携も素晴らしかったけど、シャテーニュ先輩の絶妙なトスからのエリナ先輩による強烈なスパイクが試合を決着へと導いた。


「四人ともお疲れ様~! あとでインタビューさせてもらうね!」


「素晴らしい試合をありがとうございました。体を冷やさないように気を付けてくださいね。それと、水分補給も忘れずに」


 あたしとミミちゃんはプールから上がってくる四人の姿を見守りつつ、リスナーさんたちの分まで盛大な拍手を送る。


「名残惜しいけど、これで水中バレー大会はおしまい! すっごく楽しかったから、またいつか第二回を開きたいな~。リスナーさんたちはどうだった? 楽しんでくれた?」


『楽しかった』

『実況のテンションとか内容に個人差が出て面白かった』

『毎週やってほしい』


「大会が終わっても企画はまだまだ続くから、ブラウザバックしないでね! ここまでたくさん体を動かしたから、その疲れをしっかり癒やさないと! というわけで、この後は場所を移してみんなでかき氷を食べるよ!」


 次の催しについて軽く触れた後、全員が席に着いたタイミングで先ほどの勝利チームである二人にインタビューを始める。

 それから、改めてあたしとミミちゃんが優勝した感想なんかを語らせてもらった。

 最後に、残念ながら今回は全敗を喫してしまった三期生チームが次回への意気込みを告げる。

 あたしたち六人はここで一度マイクを切り、私服に着替えてからスタジオのあるフロアへと向かう。

 かき氷を待ち遠しく思う気持ちは、激しい運動の後で疲れているみんなの足取りを軽くしてくれた。

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