第160話 パズル!
「みんな、おはユニ~! 今日は頭の体操ということで、パズルゲームに挑戦するよ!」
配信が始まると同時に、ブラウザゲームの画面とあたしの姿が映し出される。
『おはユニ~』
『朝から元気だね』
『おはユニ』
『パズルできるの?』
『ヒント機能あるやつ?』
いつものあいさつと一緒に今回の配信内容を告げると、いつにも増して挑発的なコメントがちらほら目に入った。
どうやら、あたしにパズルは難しいと思っている人が多いらしい。
「静粛に!」
『はい』
『はい』
『了解です』
『はい』
「うんうん、聞き分けがよくて助かるな~。ではさっそく、熟練者向けの超高難易度コースを始めていきたいと思います」
『!?』
『嘘でしょ』
『無理しないで』
『やめとけ』
『泣くことになるよ』
「というのは冗談で、簡単なところから徐々に難易度が上がっていくチャレンジコースをやっていくよ~」
冗談のつもりだったとはいえ、あんなに必死に止められるとは思っていなかった。
問題をサクサククリアして、みんなにあたしの実力を見せ付けてあげるとしよう。
「ステージが1から100まであるらしいから、一時間以内にどこまで進めるか挑戦するね! それじゃあ、スタート!」
言うと同時にスタートボタンをクリックすると、すぐに画面が切り替わった。
左上部には『ステージ1』という文字が表示され、画面中央にはパズルの枠があり、周りにピースが散らばっている。
一問目ということもあって非常に簡単で、特に頭を悩ませることもなく直観的にクリアできた。
「余裕だねっ、これなら時間内に最後までクリアできちゃうかもしれないな~」
『調子に乗るな』
『まだ始まったばかりだよ』
『この程度で余裕とか言われても』
「なんか辛辣なこと言われてるんだけど!?」
天狗になりかけた鼻をへし折ろうとしてくるコメントにも負けず、あたしは順調にパズルを解いていく。
ステージ2、3、4……と少しずつ難易度が上がっていきつつも、長考を必要とするほどではない。
とはいえ、ステージ9にもなると徐々にピースの数が増え、苦戦を強いられる。
「う~ん……あっ、分かった!」
行き詰っていたところを突破すると、後は芋づる式につながっていき、無事にクリア。
そして始まったステージ10で、これまでのステージがチュートリアルに過ぎなかったのだと思い知らされる。
「み、みんな~、ヒントよろしく!」
ピースの数が急激に増えたわけではないんだけど、さっきまでのステージと比べて真っ白なピースが多い。
あたしは素直にリスナーさんたちへ助けを求め、一人ではなくみんなでのクリアを目指すことにした。
これなら大丈夫、と思ったんだけど――
「あれ? 違う……じゃあ、こっちのピース? あっ、これも違う! えっと、後はどれ試してなかったっけ? リスナーさん、助けて!」
『さっきのやつ左下じゃない?』
『いまの角度変えたらさっきのとこにはまるかも』
『それ右の下っぽい』
「さっきのやつ? いまの? それ? ちょ、ちょっと待って! さっきのってなに!? いまってどの時点でのいま!? それってどれ!?」
どのコメントがどのピースを指しているのか、申し訳ないことにまったく分からない。
混乱している間にもヒントとなるコメントが次々と増え、それと同時に頭の疑問符も増えていく。
パズルを解くためのヒントを求めた結果、コメント欄が一種のパズルと化してしまった。
でも、これはこれでパズル配信として面白いよね。
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