第152話 健全な触れ合い

 あたしとミミちゃんはいま、向かい合う形で湯船に浸かっている。

 少し手を伸ばせば相手の好きなところに触れられる距離だ。


「ミミちゃんのおっぱい、相変わらず柔らかくて気持ちいいな~」


 考えが浮かぶ前にもう、体が勝手に動いていた。

 気付けば口からは感動のため息が漏れ、手のひらや指先は極上の感触を味わっている。

 つきたてのお餅に勝るとも劣らない、もちもちで柔らかい揉み心地。

 力を入れると押し返してくる弾力も相俟って、一向に飽きが来ない。昔から揉んでいるあたしが言うのだから間違いない。


「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、んっ、別にいま揉まなくても、いいじゃないですか」


 途中で艶めかしい吐息が聞こえたことにより、あたしの思考回路はピンク一色に染まってしまった。


「それって、もっとじっくりしっかり揉んでほしい、つまり今日は時間をかけてエッチしたいってこと? もちろん大歓迎だよ! 今夜もたくさん愛し合おうね!」


「ち、違っ……う、ことも、ないですけど……。や、約束ですからね、忘れて寝たりしないでくださいねっ」


 慌てて否定するようなそぶりを見せたかと思いきや、恥ずかしそうに視線を逸らしてミミちゃん。

 かわいすぎて全身の血液が沸騰するかと思うぐらい興奮したけど、入浴によるリラックス効果によってかろうじて理性を保つことができた。


「ところで、これって普通のスキンシップだと思わない?」


「普通ではないですよ」


 現在進行形でおっぱいを揉み続けていることもあり、ミミちゃんは間髪入れずにあたしの意見を一刀両断する。

 確かに、裸の状態でガッツリと揉んじゃってるし、人差し指と中指の間に乳首を挟んで刺激してみたり、人には言えない触り方してるかも。


「普通ではないけど、健全ではあるよね。食欲や睡眠欲に並ぶ性欲に基づく行為だもん」


「それは、まぁ、一理あるのかも……?」


 あたしのゴリ押し理論を聞き、ミミちゃんの頭に疑問符が浮かぶ。


「少なくとも、愛し合う二人にとってはなにもおかしくないよっ。だから、ミミちゃんも揉んで!」


「は、はい、分かりましたっ」


 勢いに押されたのか、ミミちゃんは反射的にあたしの胸へと手を伸ばした。

 特に中身のない会話を繰り広げながら、大好きな恋人と触れ合う。

 これも立派な、お風呂の楽しみ方だと思う。

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