第134話 ミミちゃんが酔った
今日は久しぶりに宅配ピザを注文した。
以前マネージャーさんに貰ったワインを開けて、ミミちゃんと二人でちょっとしたパーティー気分を満喫。
ピザはもちろん、待っている間に作ったサラダや、せっかくだからと注文したサイドメニューも非常においしく、普段以上のペースでお酒が進んでしまう。
その結果――
「ユニコちゃん大好きれす、絶対に離さにゃいですよぉ~」
ミミちゃんが酔った。
言葉も聞き取れはするけど、ところどころ滑舌が甘い。
最初はテーブルを挟んで向かい合って座っていたのに、いまはイスごとあたしの隣に移動し、腕に抱き着いて肩に顔を擦り付けている。
「あたしも大好きだよ~! トイレにも一緒に行こうね! あたしが拭いてあげる!」
甘えてくるミミちゃんの頭を優しく撫でながら、愛の言葉に続けてギリギリなセリフを言い放つ。
ちなみにあたしは酔っていない。
アルコールはそれなりに回っているけど、顔の火照りを感じる程度だ。思考もハッキリしている。
発言の内容が危ないのは、恥ずかしながら普段通りである。
「そ、それはちょっと……でも行きまひゅっ。いつでもどこでも一緒がいいれふっ」
普段なら『トイレはさすがに……』と返されていたはずだ。
いまなら本当に、誘えば一緒に来てくれるだろう。
とはいえ、相手が酔っているのを利用してマニアックなプレイに興じるのはあたしのポリシーに反する。
どうせならミミちゃんが素面の時に提案して、反応を含めたすべてを楽しみたい。
「んん……ユニコちゃん、ユニコちゃんっ」
今度は腕だけじゃなく、体にギュッと抱き着いてきた。
普段は明るくも落ち着きのあるミミちゃんが、いまはまるで幼子のよう。
「もう逃げりゃれませんよぉ」
「最初から逃げる気なんてないよ~。ある意味、この状態はミミちゃんに拘束されると同時にミミちゃんを拘束しているとも言えるね」
「相思相愛ってことれすねっ」
「うんっ、そういうこと!」
結論としては正解に違いないので、心の底から肯定する。
「のどかわいちゃいましたぁ。もっと飲みましょ~」
「あっ、もうお酒はダメだよ。はい、お水」
「はぁいっ」
満面の笑顔と、元気のいい返事。
ミミちゃんは普段から最高にかわいいし、酔ってもかわいいし、どんな状態でもかわいい。
レタスの欠片も残さず完食した後も、こんな感じのやり取りが幾度となく交わされた。
夜が更けてあたしのベッドに二人で寝転び、おやすみのキスを繰り返しているうちにミミちゃんが寝息を立て始める。
ミミちゃんの温もりや匂いを感じながら、あたしの意識もゆっくりと溶けていった。
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