第82話 コラボウィーク開催決定!

「みんな、こんユニ~! そろそろ夏休みが始まったって人も多いんじゃないかな?」


『来週から夏休み』

『昨日から』

『夏休みってなんだっけ?』

『お盆だけ休める予定』

『毎日が夏休みです』


 配信開始のあいさつに添えて何気なく投げかけた問いに、リスナーさんたちが続々と返答してくれる。

 すでに夏休みという人や、もうすぐ夏休みという人。

 毎日お休みという人もいれば、休みがないという人もいる。


「よ~しっ、夏休みも仕事で休めないって人のために、心から楽しんでもらえるような配信にしていくよ! 夏休みだから時間があるって人は、毎回欠かさずあたしの配信を見てね!」


『見るよー』

『配信がない日もアーカイブ見ます』

『ユニコちゃんの声を聞いたら元気出た』


 リスナーさんたちからの温かい言葉に、あたしも元気が湧いてきた。

 マネージャーさんは一週間ぐらいまとまった休みを取ったらどうかと言ってくれたけど、夏休みシーズンが終わるまで無休で配信できそうな気さえする。

 体調を崩してから後悔しても遅いから、もちろん休む時にはしっかり休むけども。


「さてさて、唐突ですが朗報です!」


『3D化か!?』

『まさか、四期生のデビュー……?』

『ミミちゃんと結婚したんですか!?』

『宝くじ当たったとか?』


 あえて間を置いてコメント欄の様子を眺めていると、朗報についての予想を通り越して大喜利コーナーが始まっていた。


「ざ~んねんっ、みんなハズレ~!」


 ミミちゃんとは実質的に結婚してるようなものだから、そのコメントだけは大当たりと言える。

 ただ、今回の朗報とは関係ない。


『なんだろう』

『早く教えて』

『もったいぶるな』

『焦らさないでください』


 大喜利が終わったと思えば、今度はプロレスが始まった。

 リスナーさんを軽く煽った後に辛辣気味なコメントが送られてくるのもすっかりお馴染みの流れであり、少なからず安心感すら覚える。


「気を取り直して、朗報です! なんとっ、来週の月曜から金曜日まで、毎日誰かとコラボするよ!」


 あたしは深く息を吸い、大きな声でコラボウィークの開催を宣言した。


『毎日コラボ!?』

『やった!』

『有給使ってリアタイします』

『来週が楽しみ』

『これは確かに朗報』


 満を持して告げられた朗報の内容に、目で追い切れないほど大量のコメントが流れる。


「気になるコラボ相手は、前日の夜に発表するね~」


 宣言通り、あたしはこの配信から二日後となる日曜日の夜に、一人目のコラボ相手がミミちゃんであることを発表した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る