第73話 肩こり対策に買ってみた
配信活動は座りっぱなしが基本なので、肩がこりやすい。
あたしもたまに肩が重く感じるし、頭より大きな塊を二つ胸に備えているミミちゃんは特に顕著だ。
そんな折、近所の家電量販店でハンディマッサージャーが安売りされていたので、この機に試すのも悪くないと思って購入を決めた。
「よ~し、さっそく試してみようよ!」
リビングで箱を開け、説明書にサッと目を通す。
持ち手部分にあるスイッチで、強弱を四段階で調節できるらしい。
部屋から持ってきた電池を入れ、スイッチを最弱のところに合わせる。
小さい頃に実家にあった物を用途も分からず触ったことがあるけど、それを自分で使うようになったことに月日の流れを実感させられる。まだまだ若いけどね。
あたしは振動しているゴム部品の先端を自分の肩に押し付けて振動の強さを確認した後、席を立ってミミちゃんの背後に回り、一声かけてから肩にそっと当てた。
「ミミちゃん、どう? 気持ちいい?」
「はい、思ってた以上に効きそうです」
「振動強くしてみよっか。痛かったら言ってね」
スイッチを操作して、最強の一つ手前に合わせる。
「――んっ」
刺激が強かったのか、ミミちゃんの口から嬌声に似た吐息が漏れた。
「あっ、これ……んっ、気持ちいい、です、んっ」
「そ、そっか、それはよかった。買って正解だったね~」
ミミちゃんの声がエッチすぎて、マッサージではない別のなにかをしているような錯覚に陥りそうだ。
そう言えば、これをそういう用途に使うという話を聞いたことがある。
「ユニコちゃんも使ってみてください。気持ちいいですよ」
「ええっ!?」
「な、なんでそんなに驚いてるんですか?」
これはマズい。
別の用途について考えている最中に言われたから、ついそっちの意味で捉えてしまった。
「ごめんごめん、実は――」
下手にごまかしてもバレると思い、あたしはありのままを素直に話した。
すると、その手の話題に免疫のないミミちゃんの頬がポッと赤くなる。
「た、確かに、そういう話は聞いたことがあります」
「せっかく買ったんだし、今度そっちの用途でも使ってみる?」
「それって、その……え、エッチなことに、使うってこと、ですよね?」
「うんっ」
「物は試しって言いますし、いいかもしれませんね。でも、ユニコちゃんに直接触ってもらう方が気持ちいいと思いますよ」
あたしの提案に賛成した後、ちょっと照れ臭そうに自分の意見を告げるミミちゃん。
すべてがかわいい。
配信で話せるような内容じゃないけど、これが配信だったら『かわいい』の弾幕で画面が埋め尽くされていること間違いなしだ。
後日実際に試してみたところ、ミミちゃんが言った通り、刺激は確かに強いけど直接相手の手で触ってもらう方が気持ちよく感じた。
購入目的である肩こり対策としては非常に重宝しているので、いい買い物をしたと満足している。
あと、歩き疲れた時に弱めの振動で内ももに使うのも気持ちよかった。
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