第14話 回転寿司で時代の流れを感じる

 事務所での用事が予定より少し長引き、あたしとミミちゃんは家に帰る前に外でお昼ごはんを食べることにした。

 今回選んだのは、大人から子供までみんな大好き回転寿司。


「タッチパネルで注文するのも、すっかり慣れたよね」


「ですね。インターホンを押して注文していた頃が懐かしいです」


「あたしたちも大人になったってことかな」


 回転寿司における注文形式の変遷から時代の流れを感じる二十歳そこそこの若者が、ここに二人いる。

 リスナーさんからは精神年齢が小学生レベルだと言われがちだけど、あたしも着実に大人の階段を登っているのだ。


「なにか飲みますか?」


「オレンジジュース!」


 タッチパネルを操作するミミちゃんに即答で返事をしつつ、テーブルに置かれているメニュー表に目を通す。

 玉子焼き、ハンバーグ、唐揚げ……あ、カキフライもある。

 うーん、なにから食べるか実に迷う。


「ミミちゃん、お寿司なにか注文した?」


「はい、サーモンとハマチを」


「なるほど、大人だね」


「あはは、そんなことないですよ。ユニコちゃんはどうします?」


「玉子焼きかハンバーグか唐揚げかカキフライで悩んでる」


「お子さ――じゃなくて、かわいらしいラインナップですね」


「ほんとに究極の選択だよー。いっそのこと、全部一気に頼んじゃおうかな。うん、そうしようっ」


 自問自答の結果、タッチパネルをピピッと操作して四皿分の注文を完了させる。


「ふふっ。いきなり四皿同時注文なんて、あたしもすっかり大人って感じだよね」


「えっ? あ、そ、そうですね、アハハ」


 憂い気な眼差しでミミちゃんを見ると、気まずそうに目を逸らされた。笑い声もどことなくぎこちない。

 あたしの大人びた視線に照れてしまったのだろうか。

 おいしそうな期間限定メニューや種類豊富なデザートについて話しているうちに、注文していた品がレーンに乗って運ばれてきた。


「「いただきますっ」」


 メニューやシステムが変わっても、安くておいしいという点は昔から変わらない。

 お腹いっぱいになるまでお寿司を堪能したあたしとミミちゃんは、リーズナブルな値段設定に感謝しつつお会計を済ませるのだった。

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