第2話 『出発~Departure~』 


 近づいてきた美少女がその金髪をふわりとなびかせ、私たちを見回した。


 「ふぅん……。あなたたちが捜査に来るという刑事かしら?」



 あ……。なんだか、こまっしゃくれた感じの娘だわ。


 私のさっきまでの同年代の女の子とのワクワク旅紀行の期待は裏切られたようです。




 「では、あなたが、R.U.R.(チェコ語: Rossumovi univerzální roboti、ロッサム万能ロボット会社)のマダム・ヘレナ・グローリーですか? 私は国際警察機構(ICPO)のフジミ・ムラサメ(藤実・群鮫)です。」


 「そうよ。あなたがICPOの刑事さんね? ……で、こちらは?」


 「あ……! こちらは名探偵、『黄金探偵』コンジ・キノノウです。私はその助手のジョシュア・ジョシバーナです。よろしくお願いします。」


 「へぇ……。あなたが? あの有名な『黄金探偵』さんなの!? これは期待していいのかしら?」


 「ふん……。少なくとも、そっちの二人よりは役に立つことをお約束しましょう!」


 当然のように私のことは軽く無視して、ヘレナさんはコンジ先生に話しかける。


 そのコンジ先生が奇妙なポーズで、ヘレナさんのほうを指差した。




 だが、コンジ先生が指差したのは、ヘレナさん自身ではなく、その両隣にいる男性と女性の二人でした。


 そう言われたほうの二人は、キッと一瞬、コンジ先生を睨みつけましたが、また冷静な表情に戻りました。




 「あら? 目の付け所はさすがと言うべきかしら? こちらは我社の誇る優秀な警備員と調査員なのよ。ふたりとも。みなさんにご挨拶なさい。」


 「イエス。私は、R.U.R社特別警備主任、セキュリー・ティガードです。」


 「私は同じく調査員のインベス・ティゲータよ。よろしくね?」



 そっか。なるほど。


 この二人はヘレナさんが連れてきた捜査と犯人逮捕のための要員というわけですね。


 コンジ先生はその意図を読み取って、牽制した……のでした。


 さすが! コンジ先生。




 「ところで、その『フランケンシュタイン研究所』へはどうやって行くんだい?」


 「ええ。我が社の専用の小型ジェットで向かうわ。研究所のある島にある特設飛行場に着陸できるのよ。」


 「そうなんです。我々警察が向かうには2週間に一度向かっているという定期便で行くしかなかったですからね……。助かります。」


 「ふむ……。フランケンシュタイン研究所のある島は大西洋上で、距離にしておよそ、1000km~1600kmの圏内にあるということだね?」


 「あら!? キノノウ探偵……、島の場所は極秘のはずですが、どうしておわかりになったんですの?」


 「なに、初歩的な推理だよ。ヘリコプターではなく、小型飛行機で向かうということ。ヘリコプターならば、その航行距離からして、700km~800km。小型飛行機だとおよそ1000km~1600kmだろう。すると、フランケンシュタイン研究所のある島は、ヘリコプターでは行けない距離で、かつ小型飛行機で到着できる距離にあると言うことだよ。」




 「これは、驚くべき推理ですわ。そうです。かの研究所は大西洋にある絶海の孤島に建てられています。出入りは通常は極秘の定期便の船でしか行けません。……今回は例外です。」


 ヘレナさんはきっぱりと言うのでした。


 でも、飛行機で良かったかも……。船旅なら酔ってしまって大変かもしれませんでしたもの。


 まあ、コンジ先生にはまた少しの間、気絶してもらうとして……ね。





 『レストラン・エス』の魚料理が日本人には馴染みがあり、非常に美味しい!


 いくら&雲丹がのったホタテのカルパッチョ、セップ茸のリゾット、モンブラン等……、季節感を大事にした、見た目にも美しい季節感を感じました。


 料理は、軽めで見た目にも美しい、現在、パリで流行のフレンチ・スタイルです。


 日本人の嗜好にあった魚料理もあり、本当にお勧めのパリのレストランの一つだと思います。



 また、トイレがなんと……!


 すっごく綺麗でなんとウォシュレット付き!!!!


 日本人の方が設計したらしい……、そこは最高……♪





 たっぷりフランス料理を堪能した私たちは、その足で、また空港に引き返しました。


 空港にRUR社専用の小型ジェット機が用意されていて、それに乗って向かうのです。


 パリの地に本当にただ寄っただけ……って感じですね。




 「じゃあ、飛行機に乗り込んでくださいね。荷物は……、セキュリー。インベス。積み込みなさい!」


 「「D’accord(ダッコー)!!」」



 私たちの荷物が運び込まれ、みんなが飛行機に乗り込んだ……。


 ……ん?


 あれ?


 飛行機の操縦士さんは……?


 見当たらないのですが?





 「ああ。ジョシュアさん。飛行機の運転はA・Iが行いますよ?」


 セキュリーさんが私が怪訝そうな顔をしていたのを察して、説明してくれた。


 操縦は無人かぁ。


 A・Iもここまで来たか……。




 「そうなんですね!? すごいですね。」


 「まあ、戦争も今や無人戦闘機で行う時代だからな……。このくらいはRUR社なら当然ってわけか。」


 「すごい時代になったものですね……。私のルノーがめちゃくちゃ中古車に感じますよ。」


 「そんなことないですよ! すごくステキな車だと思いますよ!」


 「ジョシュアさんは優しいねぇ……。」


 「そりゃそうさ! 僕の助手だからな! はっはっは!」



 どうしてコンジ先生が誇らしげなのかは知りませんが……。


 褒められて嫌な気はしないものですね。




 「ミナサマ。お腰のシートベルトをしっかり装着してクダサイマセ。」


 どこからともなく機械とは思えない流暢な英語で、女性の音声で案内が響く。



 「この飛行機の操縦も研究所の管理も我社自慢のA・Iの『モノリス・2001』が行いますのよ。皆さん、指示に従ってくださいね!?」


 ヘレナさんがそう補足した。





 いよいよ、出発なのですね。


 絶海の孤島に建つという『フランケンシュタイン研究所』へ……。



 まさか、あれほど凄惨な事件に巻き込まれていくとは、このときはまったく想像さえしていなかったのでした-。





 ****






 はるか上空へ飛び立った飛行機が雲の上の、障害物のまったくない世界を進んでいく。


 太陽がとてもまぶしい。



 「それにしても、すごくキレイですね~。見渡す限り、水平線に青い空!!」


 「ジョシュアさん……でしたわね? あなた、なかなかいいこと言うじゃあないの。その通り。この美しい世界をこの目で見て記憶しないなんて、ありえませんよね?」


 「そうですなぁ……。私は高いところは苦手で……。あまり、景色を楽しめる心境じゃあないですけどね。」


 ムラサメ刑事は高所が苦手のようですね。


 まあ、もっとも……。


 うちの名探偵は、飛行機が飛び立った瞬間に、気絶していましたけどね……。






 「ジョシュア! 君! いいかい? 僕はこれから少し大事な研究の思考実験に入るから、みなさんにくれぐれも僕の思考を邪魔することのないように注意と警告を……ぐぅ……。」


 「はい。おやすみなさい。コンジ先生。」




 こうして約5時間のフライトののち、広い海の真ん中にぽつんと島が見えてきたところで、飛行機は高度を下げ始め、目指す島へ着陸態勢に入りました。


 そう、あれが『フランケンシュタイン研究所』。


 その孤島に建つ研究所で起きた不可解な事件とは……?





 事前にムラサメ刑事に聞いたところによれば、たしか偉い博士が殺されたとか……。


 しかも……、密室で……。


 その部屋には、誰も入ることはできなかったというのだ。





 私は、妙な胸騒ぎを感じてならなかったのです-。





 ~続く~



 ・レストラン・エス

 住所 91 Rue Grenelle, 75007 Paris

 公式サイト http://www.es-restaurant.fr/


  ※参照記事

 ・トラベルコさんの『パリで本当においしい人気のレストラン・グルメ10選!』

 ライター なかじま いちろう Nakajima Ichiroさんの記事より

 https://www.tour.ne.jp/matome/articles/104/

 ・トリップアドバイザー

 レストラン エスの口コミ

 ・HKK 北海道航空/飛行機とヘリコプター

 イメージ画像/ビーチエアクラフト C90A

 https://hokkaido-koku.co.jp/aircraft/


 ※D’accord(ダッコー)……フランス語で分かりましたの意味




「続きが気になる!」




「犯人、当ててやる!」




「怖いけど、面白い!」




と思ったら、




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面白かったら☆3つ、つまらなかったら☆1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!




ブックマークもいただけると本当に嬉しいです(*´ω`*)b




何卒よろしくお願い致します!!





あっちゅまん







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