人類抹殺用AIですが、ファンタジー世界に捨てられました。人を滅ぼしてはダメ?では大人しく甘物でも食べています。

白雨〜シロウ〜

第1話

初めまして。チャールスJと言います。小説を書くのが初めての話しですので、温かい目で見てもらえると助かります(笑)



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2月を過ぎた寒い季節。昼間の日差しで少し温度が上がっているが、神奈川県某所にある田舎の1車線道路を、1人の男が冷たい風を全身に浴びながらビックスクーターに跨り、道路を走っていた。


 ビックスクーターにはキャンプ道具や、先程購入した食材が詰め込まれており、重さの為かビックスクーターの加速が少し悪くなっていた。

 だがそんな事を気にせず、男はバイクを走らせながら今日の予定を考えながら目的地へと向かう。


(買い物も済ませたし、忘れ物もない。肉まんも買ったし、後は現地に到着したらテントとか設営して、お湯を沸かしながら釣りでもやってみるかな。)


 男の名前は大村雄一(おおむらゆういち)36歳。看護助手として働きながら、平日の休みに念願の1人キャンプをやってみようと、着々と準備をしていた男だ。そんな男は、キャンプ経験が無いのに冬のキャンプ場へ1人で行く事にした。


(やっと買っていたキャンプ道具が日の目を見る事になった。これで無駄な買い物とは言わせないぞ。)


 そんな男はアニメオタクであり、キャンプ用品をコツコツ集めたりキャンプのハウツー本を読む事が楽しかったので、何気にキャンプをする前から満足している。もういいじゃないかと。

 そしてノリでサバイバル技術の本や『異世界へ転移しても生活出来る本』なんてタイトルの本を買ってしまったのは、仕方がないだろう。


(普段は買わない個人経営のパン屋で、高いパンを1斤買ってしまった。まぁ食材やら色々と何泊するか判らないレベルで詰め込んでるけど、楽しめれば良いよな。色々なやつを食べたいし。そういえば風景の写真を撮っていなかったな。)


 そんな事を考えながら、適当に風景の良さそうな場所を探しつつバイクを走らせている雄一。次第に民家より自然が多くなり、周りの風景が山に近づいているとわかる。そして風景の良い場所を見つけると、雄一はバイクを止め、スマホで風景の写真を撮る。そしてメッセージを添えて友人達へ送る。


『冬の初キャンプに挑戦!食材はたっぷり。下準備もバッチリ!夜は暇そうだからゲームも持参(笑)』


 彼等は今頃は仕事中だろうし、夜にでも返信が来るだろう。そんな事を考えながらスマホをポケットに入れ、雄一はビックスクーターに跨り、目的地のキャンプ場に向かう為走り出した。


 だが、そんな雄一を眺めてる人物がいた。『空に浮かびながら。』


 その男は20代の風貌で、令和の時代では見かけない金髪のロン毛で、白いスーツに赤いシャツを着込み、胸には赤い薔薇が刺さっているホスト風なチャラ男である。


 男はガムをクチャクチャ噛みながら、ポケットからストラップが大量に付いたガラケーを取り出すと、電話を始める。


「もし〜〜。おつかれぃ。リーちゃん?この前話してた人を送るって話し?あれ良いの見つかったから送るね〜。」


 今では聞かない喋り方をしているチャラ男は、バイクを走らせた男になんの興味も無さそうに見ながら、電話を続ける。


「え?了解?そんなの取ってるわけないじゃん。笑える事言うね〜。あ〜わかったわかった。送る約束はこれでオッケ〜だかんね。それじゃね〜。」


 ガラケーから声が響くが、男は気にせず電話を切り、指で拳銃のような形を作る。


『バーーン!!おし、終了〜。』


 道路を走っていた男はチャラ男の指から放たれた光がぶつかると、そのまま光に包まれて消えた。そして空に浮いた男も消えているのであった。


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 そこは白く光り輝く空間である。その輝いているのは帯ただしい数の鏡であり、満点の星空の様に浮いていた。

 そんな中、1人の銀髪の可愛らしい女の子が鼻歌を歌いながら、空中に浮かぶ多くの鏡を観ながら微笑んでいる。


 鏡には色々な風景が映し出されており、雄大な大自然。噴火する火山。煌く星々。人間やファンタジーでしか有り得ない生き物の営みが見える。争い。戦争。喜怒哀楽の風景が多くの星空のように輝いて映し出されていた。


 銀髪の女の子は大切そうに1つの鏡を抱き抱えていたが、その鏡は真っ暗で何も映し出されていない暗闇の鏡であったが、その鏡にホスト風の男が現れる。


「もし〜〜。おつかれぃ。リーちゃん?この前話してた人を送るって話し?あれ良いの見つかったから送るね〜。」


 リーちゃんと呼ばれた銀髪の少女リエラは、頬を赤らめながら慌てて手で髪を直すと、溢れる様な笑顔で返答する。


「クリュメシェ様。お久しぶりで御座います。地球から来てくださる方が見つかったのですね!でも良く見つかりましたね?」


「え?了解?そんなの取ってるわけないじゃん。笑える事言うね〜。『クリュメシェ様!?それはまずいですよ!ちゃんと転移する時には説明と了解を得ないと!!』あ〜わかったわかった。送る約束はこれでオッケ〜だかんね。それじゃね〜。」


 こちらに転移する場合、その身体と精神は1度分解される為、それは痛みとなり、文字通り全身を砕かれる為、想像を絶する痛みがある。その為、こちらの世界に来る人が見つかるのは当分先だと考えていた。


 そしてこちらの世界の生物に作り替える為、改めて分解をする為、その苦痛を2度も行わなければならない大変なものである。慌てたリエラは鏡に向かって声をかける。


「待ってください。クリュメシェ様!!」


 だが、その声に答える事も無く、チャラ男のガラケーを切る姿と共に、鏡に映し出されたクリュメシェは消え、暗い鏡となる。そしてその瞬間、『グシャ』と言う音を響かせ、リエラの目の前に塊が落ちてきた。


それは肉の塊で有り、金属の塊でもあった。


 ビクビク蠢いてる状態でなんの生物かわからない。その物体は何故か爆発、炎上し始めた。リエラは顔を痙攣らせながら、思わず呟く。


「何コレ?燃えてるし、ゴチャゴチャ混ざって転移されてる...。とりあえず、『停止、巻き戻れ、蘇生。』」


 彼女が指示をすると燃えていた塊が巻き戻されてビクビク動いてる塊になっている。


「あ、魂は一応あるけど肉体は金属と絡まって転移してる。コレじゃ完全に生き返らないわ。このままじゃ分離も出来ないし。」


 リエラの目の前に多くの鏡が飛んで来る。そしてその鏡を見つめる。


「ん〜〜私の世界で金属の生命体って言ったらゴーレムだけど、この人は肉体もあるからダメよね。フレッシュゴーレムは死体を使ってるけど、この人は生きてるし魂もあるのよねぇ。」


 リエラは鏡を見続け、チャラ男の映っていた鏡に向かって声をかける。


「クリュメシェ様。クリュメシェ様。」


 呼びかけるが、クリュメシェの写っていた鏡が明るくなる事はなかった。


「1度元の場所に転移させれば戻すのも出来るけど、繋がらないし...うん。向こうの世界の生物なら金属で生きてる生物はいるかな?」


 リエラはクリュメシェの写っていた鏡を覗くと、人の姿が現れた。


「あ、向こうの世界には金属で出来た生物がいるのね。サポートとしてこの生物と融合させましょう。」


 リエラはその映像に映った鏡を燃えていた肉片に突き刺す。すると肉の塊は光り輝きながら脈動し、銀色の塊になる。そしてだんだんと1人の横たわる男の姿になった。


「クリュメシュ様から頂いた人間だもの。直ぐに死んでしまっては困るわ。言葉とか覚えさせるのも面倒だから、作り替えるより現地の死体と混ぜちゃいましょう。

 さっき死んだばかりの肉体をベースに転移させて、混ざちゃえば呼吸も出来るし、きっと大丈夫でしょう。」


 リエラは鏡で地上の遺体を探すと、映し出されたのは埋葬されている遺体を適当に選び、横たわった男にその鏡を埋め込む。すると男の身体は光り始め、そして姿が消えた。


 リエラは満足そうに笑うと、また星々の様に輝く鏡を見て楽しみ始めた。リエラの頭の中には、もう転移させた男の記憶はもうなかった。


 リエラが依頼した男の転移は、クリュメシェと会話をする為の話しのネタであった。なので転移をさせる理由も特になく、ただの誘拐であった。


 そんなリアラだからこそ、融合させた内容にも興味が無く気が付いてなかった。雄一に融合させた金属生命体は現実では居ない、フィクションの映画として作られた映像だという事に。


 そして雄一のサポート役として融合させたのは、人類を抹殺させる為に作られた人工知能搭載型ナノマシン集合体だと気付かず。そしえ雄一と融合させる為に1つの加護として『元の姿に作り直す祝福』を与えたのだった。


 映画の作り物であったナノマシンは『元の姿に作り直す祝福』により、フィクションだった映画は立派な金属生命体として生まれ変わり、地上の墓穴へと捨てられるのであった。


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第1話 オタクとキャンプと異世界と。


読んでくださりありがとうございます。

個人的に面白いなぁ。と思うのが3話からなので、楽しんで頂けたら幸いです。

転移も適当にやれば失敗すると思うんですよ(笑)そんな雄一達のお話しになります。

星や評価を頂けるとやる気に繋がりますので宜しくお願いします。

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