顔は美しいが怪しげな便利屋の男・マダラと、やむを得ず彼を頼ることになった高校生のお嬢様のコンビが、不可解な難事件へと挑むお話。
呪いや妖をモチーフにした現代ファンタジーです。ミステリ、といっては語弊があるものの「探偵もの」的というか、事件発生から調査という段階を踏んで、やがて解決へと至る構造の物語。その過程で発揮される彼らの特別な能力や、あるいは単純にそのキャラクター性自体に魅力のある、エンタメ性の王道ぶりがとても魅力的でした。
キャラクターが好きです。あるいは、彼らの間のバランスや役割分担のようなものが素敵。視点保持者である沙羅さん、彼女の視点(立ち位置)に自分を投影しながら眺める、主人公のマダラさんの魅力的なことといったら!
すこぶる顔が良く、でも性格はだいぶ怪しく、でもなんだかんだで頼りになるヤバげな男。といって、どっぷり頼るわけにはいかない沙羅さん側の事情と、でもそれが終始フラグっぽく見えてしまう感じ。なにより、クライマックスで詳らかになる、マダラと静さん周りのあれこれの格好良さ! この辺、非常に丁寧というか、「欲しいもの全部くれる感じ」が最高でした。
危険な香りのする男ならではの魅力がたっぷりの作品。アンダーグラウンドな景色の似合う男を、お腹いっぱい味わいたい方におすすめです。