絵名の誕生日

@karua820

第1話 誕生日会

 今日は私の誕生日。みんな祝ってくれると思う。いつもなら誕生日は家で過ごしている。今回はセカイで祝ってくれるらしい。ありがたかった。いつも彰人とケーキ争いをしているからだ。さて、そろそろ行こうかな。行く前にSNSの確認っと。お、いいねとリプ来てる。ん?一人おめでとうと言ってない人がいる。あ、瑞希のアカウント……。あいつ、絶対許さない。

 「絵名」

「「「「「お誕生日おめでとう〜!」」」」」

パンっとクラッカーの音で祝福された。

「今回はみんなプレゼント用意してあるよ」

「じゃなかったら怒ってる」

「あはは……」

瑞希の目が泳いだ。あいつ、絶対ろくなの持って来てないな。

「まず、ミクから」

ミクはスッと立ち上がり私の前にきた。

「絵名、おめでとう」

渡されたのは紙だった。開いてみると、前に渡した塗り絵のやつだった。すごく綺麗に塗れている。

「ありがとう、ミク。すごい、丁寧に塗れてる」

「ありがとう」

「ありがとうって、ミクが言っていいの?」

「次はリン〜」

「私のも大したものじゃないけど……」

「……!!」

リンがくれたのは誕生日の花であるムラサキハナナだった。確か花言葉が「恵まれた未来」か何かですごく気に入っている花だった。

「すごく嬉しい!この花、わたしが気に入ってるやつなの!!」

「そう、良かった。実はメイコにも手伝ってもらったの」

「そうなんだ。リン、メイコ。ありがとう」

久しぶりに心のそこから喜び、笑った。

「次は奏〜」

瑞希の声がちょっと震えていた。

「私のはちょっと特殊で今スマホに送ってる」

1分ぐらいしてメッセージが来た。音声データが届いた。再生ボタンを押すと、奏での作った曲が流れた。聞いたことない曲だった。

「この曲、制作時間そんなにないけど作ってみたんだ。どう、かな?」

「ありがとう、でも少しぐらい休んだら?」

「この程度なら休まなくても平気」

「本当、毎回曲作りのために寸暇を惜しんで頑張ってくれてるよね。奏での誕生日に何かお返ししないと」

「次は僕だよ」

「あんた、リプにおめでとうのおの字も書かなかったくせに……」

「あはは……。気を取り直しておめでと」

くれたのは私のお気に入りの香水だった。結構高いし、なかなか見ない結構品薄のものどうやって見つけたんだろう。

「いやー、大変だったよ。そこらじゅうのお店飛び回ったよ。そしたら、宮益坂のデパートにたまたま売ってたんだよね」

「ありがとう。瑞希に仮作られちゃったし、何かお返ししないと」

「やっぱりそう来たか。ふふふ……。お返しはこれより高いものでね」

「うっ……。あんたね、覚えておきなさい」

ずる賢いやつめ。でも、絡むと楽しいからいいんだけど。

「次はまふゆ〜。締めよろしくね」

「絵名。誕生日おめでとう」

次の瞬間、まふゆは私にキスして来た。

「……!?」

恥ずかしい。早くやめて欲しい。みんなに見られてるのにこいつは何をしてるんだ。

「……絵名。絵名の欲しいもの見つかんなかったからこれにした」

「あんたね、みんなの前で何してくれたの……」

「本当は知ってるよ。これが本当に欲しかったものでしょ」

図星だ。誕生日の一週間前にまふゆにこう尋ねられた。

『そろそろ誕生日だよね。欲しいもの何?』

っと。その時私は照れたあまり

『自分で考えなさいよ。バカ』

っと言ってしまったのだ。多分それでまふゆの脳内変換でこれになったんだと思う。気づいたらまふゆと私以外固まっていた。瑞希に関しては口が開いていた。

「なんか、これ以上関わるとヤバそうな気がするから一旦お開きにしよう」

と瑞希が言った。

「ほら、25時までまだ時間あるから、お二人さんは気がすむまでイチャイチャしてて」

「じゃ、また25時にここで」

「うん、じゃあね」

みんな私たちの周りを去った後、これでもかと言うほとイチャイチャした。

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