ちらっと目に入ったのは麗子が政雄の財布をさわっている様子だった

「麗子、俺の金が入ってない財布をどうするつもりだ」

物音を立ててないので麗子は政雄に気づいていない表情だけ見ると嬉しそうだ

しかし政雄は目撃してしまった

麗子が政雄の財布にせっせと万札をつめこんでいる所を

麗子は付き合い始めて間もないがかなり尽くすタイプだと政雄は見抜いた

普通の男なら喜ぶだが政雄は中身は硬派だ

「こっ、こんな！俺はヒモ男じゃない！

これでは甘えて怠け者になってしまう！」

麗子は上機嫌で夕食のカレーを煮込みはじめた全く政雄の動揺を知らない

政雄はそのまま忽然とアパートから消えた

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