男が漢になった愛

一之宮 泰成

第1話

初夏の日差し 流れゆく車の波 人々の笑い声

いつも通りの1日が過ぎてゆく

フリーターの井上政雄は彼女の待つアパートへ急いだ

「今日も4時間労働の日当を全部パチンコで使ってしまったな」

呟きながら 彼女の松山麗子の 反応を考えて

途方に暮れていた

アパートの前の樹木が 風に揺られて ざわめいている

カラスの鳴き声は まるで 政雄を 馬鹿にしているようだ

「さあっ! 麗子に何と 釈明するかな」

アパートに静かに入り 言い訳を考えながら

狭い廊下を歩く

自室に入ろうと 扉を少し スライドした

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