#8

なつみ 「んで?スカル先生までまとめましたけど?」


ふゆか 「おっと、しっかり振ってくれるのかい?」


ちあき 「残り1人だしね。」


ふゆか 「ウチの推しはもちろん…。」



ふゆか、教壇に上がる。

画面が切り替わる。



ふゆか 「ルイスぅ~!!」



画面に貫禄のある険しい表情をした背の高い青年が映し出される。その青年は腰ほどまである長い髪を少しだけ三つ編みをし、後は垂らしている。



ふゆか 「は~!見るだけでテンション上がる、寿命が延びる!推しはマジで延命装置。一生吸っていたい。」


ちあき 「なんかデジャヴを感じる…。」


みはる 「ふゆかもオタクのタイプで言ったらなつみと同じだもんね。」


なつみ 「そもそもあたしたちが少し似てるんだよね。陽キャの限りなくオタクに近い位置にいるのがふゆかでオタクの限りなく陽キャに近い位置にいるのがあたし。同じようで少し違う。根本がね。」


ふゆか 「あー。そんな分析されてたのか。」


なつみ 「これがクレアちゃんとシェイラちゃんを創るにあたってキャラが似ちゃって大変だったのよ…この違いの差は人としてなら個性の許容範囲だけど、キャラとしての個性の観点だとドン被りの範疇なの。」


ふゆか 「それは…お手数おかけしました?」


なつみ 「オリキャラが本人たちと遠ざかったのはこういうキャラの差別化ってのも関係してるのよ。」


みはる 「難しい話だね…。」


なつみ 「例えば、みはるそのままだったらコミュ障発揮して男子キャラと会話することもできない、とかね。」


みはる 「それはそうだね…。」


ちあき 「あー、現にみはるがクラスの男子と話してるところ見たことないかも。」


みはる 「話したことないかも…。」


ふゆか 「ねぇ!ウチの話は!?」


みはる 「忘れてた…。」


ちあき 「言うても、ふゆかのルイスの話は耳にタコができるほど聞いてるから。」


ふゆか 「それを言うならなつみのアレンの話だってそうじゃん!」


なつみ 「あたしはトップバッターだったから。」


ふゆか 「理不尽!?」


なつみ 「嘘嘘。ふゆかちゃーんルイスについて教えてください。まず、彼の基本情報は?」


ふゆか 「アルカレッド・フォースト魔導学校3年C組。ヴァミラード寮長!この時点で凄いのよね!寮長ってのが!!学園の中で寮長は4人しかいないんだよ?つまりたくさんいる生徒の中でも頂点!」


なつみ 「それを言うならルベンも寮長だったよね。」


ちあき 「そうなの。うちの子唯一2年で寮長なんです。」


ふゆか 「いや、ウィットティグは寮長の決め方くじ引きじゃん?でも、ヴァミラードは正当な決闘で決めるんですよ!つまりヴァミラードで一番強い!で、ヴァミラードは腕っぷしの強い学生が集まるところだから実質学園で一番強いってわけ!そんなルイスは寮長もやって部長もやってるんだよ?」


なつみ 「レスティブル部ね。」


ふゆか 「そう!魔法スポーツのレスティブル!」



画面が切り替わり、箒に跨いだルイスが指示を出しているイラストになる。何かのスポーツの試合中、彼は司令塔の役割をこなしているようだ。



なつみ 「なんかふゆかだけスライド多くない?」


ふゆか 「そりゃ、ウチがこのスライドを作りましたから。」


ちあき 「おっ、SSR絵?」


ふゆか 「これは…そう!SSR絵って日常と部活と、後今やってる魔法イラストだよね?」


なつみ 「そうそ。体操服と制服がRで正装と寮服がSR。これが今実装されてるカードシリーズの全部。」


みはる 「でもどのイラストも綺麗だからあまり優劣とかないよね。」


なつみ 「そこも乖離の箱庭の魅力~。極めればゲームシステム上、ステータスもそこまで大きくばらつき無いから実質愛の問題。」


ちあき 「じゃあなんでランク分けしてるんだろうね?」


なつみ 「もちろん、SSRの方が育てやすいってのはあるよ。イラストのグレードも当たり前だけどSSRが一番いいし。でも、最近のソシャゲってSSRはイラストがSRやRに比べて豪華ってだけで実用性はないじゃん。そもそも強さとか追い求めるタイプのゲームじゃないし。ただ、コレクション欲を掻き立てて愛のためにお金を払わせようとする…。昔はサービスの対価にそれに見合った利益を支払う構造だったのに、いつの間にか立場が逆転して、何でも先に金を払え、サービスは後だみたいなそういう、お金にがめついっていうのかな?意味もないのにガチャを渋くして、お金を搾取しようとしているのが見え透いててそんな風潮が…」


ちあき 「やっべ、なつみに変なスイッチ入った!?これ以上今の時代のソシャゲについて語らせてはいけない!!」


みはる 「そ、そういえばさ!レスティブルって何かのスポーツに似てたよね?なんだったっけ?」


ちあき 「ラクロスじゃない?箒で空飛んで魔法使ってラクロスするって感じ。」


ふゆか 「そんな花形運動部の部長も務めちゃってるんですよ~。寮長で寮生をまとめ上げながらね!」


なつみ 「ルイスは掛け持ちしている役職が多いからルベンとはまた別で苦労人って印象あるな。」


ふゆか 「それをすべてこなせる有能さも好き~!さて、ここで質問です。ルイスさんいくつに見えますか?」



画面が切り替わる。日常のSSR絵。ルイスが眉間にしわを寄せ、執務机につき書類仕事をこなしている。雑多な机には書類が摘まれている。



ちあき 「えっ?3年生だから18歳じゃないの?」


みはる 「あまり18歳には見えないけどね…。」


ふゆか 「アルカレッド・フォーストが何歳でも受け入れられるって言ったら?」


みはる 「そうなの?」


なつみ 「そんな設定聞いたことないけど…。」


ちあき 「それなら28だね。間違いない。」


なつみ 「ちょ、若手の教師よりも年上じゃん。」


みはる 「確かにそう言われるとしっくりくるね…。」


ふゆか 「まぁ、実際はそんな設定無いからきちんと18歳なんだけど。えっ?お前その顔で18歳なん!?っていうギャップも好きなんだよね。」


なつみ 「ストーリーの中でも何回か新入生に先生と間違えられてたよね。」


ちあき 「これだけ貫禄あればな…。」


ふゆか 「こんな見た目だけどさっきもちあきが話してたけど、ルイスもルベン並みにギャップが激しいのよ。」


ちあき 「こんな見た目って言っちゃったよ。推しに対して。」


なつみ 「好きであればあるほど、いじりたく、いじめたくなっちゃう。それもまた愛の形だよ。」


みはる 「愛は複雑…。」


ふゆか 「基本的にはこの見た目のどおり厳しい人なんだけど、どちらかというと自分にストイックなタイプかな?こう見えてすごく情に厚くて、後輩のこととか同じ寮生のことをすごく気にかけてるの。感情表現が不器用なタイプだからねー、わかりにくいんだけど、確かに大切に思われてることがひしひしと伝わる感じ。その堅物不器用さにキュンとしちゃう。自分へのストイックさを周りに求めすぎない大人な姿勢も尊敬できて惚れる。かといって頑張る人には援助を惜しまないから、こんな上司のもとで働きたい…。背中で語るタイプのトップ。漢の中の漢!」


なつみ 「確かに、ルイスのおかげでヴァミラード寮は他の寮と比べても統率が取れてる感じだよね。」


みはる 「でも、鬼とか何とか言われて怖がられてなかった?」


ふゆか 「そう!不器用な漢なもんで怖がられがちなのよ!本人は結構動物とか癒されるものが好きなんだけどね、動物に近づくとみんな飛んで逃げていくくらい!それを実は気にしてるのも可愛いんだけど、そんな強面でなんと常にボーロを携帯しているの!」


ちあき 「ボーロ??」


ふゆか 「そう。たまごボーロ。ほら、コロコロしててサクサクする、くちどけの良いビスケット。」


ちあき 「え?あの、幼少期に貪り食う?」


ふゆか 「それ!それを常に持ち歩いてて、疲れたときとか食べてるの!しかも仲良くなると割と定期的にくれたり、事が面倒になるとボーロで口封じしようとしてくるっていうね。可愛くない!?」


みはる 「うわぁ…それはかなり強いギャップだね…。」


なつみ 「ボーロで黙らせられると思ってるのか…。それ聞くと可愛く見えてくるわぁ。」


ふゆか 「でしょでしょ!?なんかルイスって不器用なお父さんって感じがして可愛いのよ。頼りになるけど放っておけないって感じ?」

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