オリキャラは本編にはいませんっ‼︎

なわ

#1

なつみ 「これで・・・よしっ!」



なつみ、勢いよくエンターキーを押す。

なつみの部屋。時刻は深夜を回っている。



ちあき ≪お?できた?≫



電話越しのちあき。2人は電話をつなぎながら、なつみはパソコンに何かを打ち込んでいた。



なつみ 「できたよ、できた。かんっぺき!やっぱあたし天才だわ~!」


ちあき ≪あ~、よかったね・・・。≫


なつみ 「もしかしてもう眠い?」


ちあき ≪眠く・・・ないよ・・・。≫


なつみ 「いや、それほぼ寝てる声じゃん!?」



なつみ、時計に目をやる。



なつみ 「・・・そっか、もう一時か。ちょうど終わったし、今日はもう終わりにしようか。」


ちあき ≪うん・・・。≫


なつみ 「じゃ、明日完成したの印刷して持っていくから楽しみにしててね~。」


ちあき ≪うん・・・。楽しみ・・・?≫


なつみ 「あはは!もう、うつらうつらじゃん。そのまま机で寝ないでちゃんとベッド行くんだよ?じゃないと、体バキバキになるからね?」


ちあき ≪はぁい・・・。≫


なつみ 「じゃあね~、また明日。」



なつみ、ちあきとの電話を切る。



なつみ 「あ~~今日も仕事した~~‼」



なつみ、背もたれに寄りかかり大きく伸びをする。



なつみ 「さ、あたしもこれ保存して、もう寝よ。」



なつみ、マウスを手に取り、保存作業に移る。フォルダ名は『乖離かいりの箱庭オリジナルキャラクター』。



なつみ 「・・・。」



保存作業を終えたなつみはできたページにざっと目を通す。



なつみ (結構長い時間かけてじっくり作ってきたから、これで終わりってなんだかちょっと寂しいな・・・。まぁ、まだオリキャラの設定を完全版にしただけなんだからこれからたっぷり二次創作で楽しめばいいか。)



なつみ、パソコンの電源を落とし、ベッドへ移動する。



なつみ 「!」



その一瞬、視界に映った鏡にを覚え、なつみは一時停止する。



なつみ 「っ・・・。」



なつみ、固唾を飲むとゆっくりと鏡の前に戻る。そこには寝間着姿のなつみ。

なつみ、安堵の息を漏らす。



なつみ 「だよねぇ・・・。こんな時間に鏡に変なの写るとかシャレにならないし・・・。」



なつみ、そのまま気にせずベッドに倒れこむ。



なつみ 「・・・。」


なつみ (このまま寝るのはなんか怖いな・・・というか、なんか寝ちゃいけない気がする・・・。)


なつみ 「あ。」


なつみ (そうだ、今日の12時から乖離の箱庭で新ガチャ始まったんじゃん!推しの新規SSRガチャ!!この日のためにガチャ石貯めてたし、それでは早速・・・。)



なつみ、スマホを取り出すと、アプリを起動する。

乖離かいり箱庭はこにわ



なつみ (今あたしの一推しゲーム、乖離の箱庭。女性向けスマホゲームで、友達に布教したら全員が沼に落ちた神ゲー。)



なつみ、起動後は画面に触らず、ボーっと見つめる。ゲームのOPが始まる。



なつみ (あらすじをざっくり言うと、タイトルが指し示している、世間とはちょっと離れた位置にある優秀な大魔導士を輩出する魔導学校、アルカレッド・フォースト魔導学校が舞台で、ひょんなことからプレイヤーである主人公はあたしたちの世界からこの魔導学校に迷い込んでしまう。で、そこで特殊な力があることを認められた主人公は特待生として学校に受け入れられ、そこに通うイケメン生徒や先生と学園生活を共にする、青春群像劇。)



OP内で、くせ毛の快活そうなイケメン男子とサラストクール系イケメンに手を差し出される。



なつみ (ゲーム内ではプレイヤーが感情移入しやすいように一切主人公のビジュアルが出てこないんだよね。女性向けゲームだから可愛い女の子だろうけど。)



OPはキャラ紹介のパートに移る。多種多様のイケメンが画面に次から次へと映し出される。



なつみ (舞台の魔導学校は男子校という指定はないけど、入学の資格を得られたのが今まで男しかいなかったからほぼ男子校のようになっている。そんな中に異世界から来た魔力のない女の子をフラフラさせるのは危ないと、主人公は校長の配慮で男装して学園生活を過ごすことになる。それが勘違いを生んだり生まなかったりでいい味出してるのよ~。)



OPが終わり、タイトルコールになる。



青年の声 「乖離の箱庭。」



なつみ、画面をタップしゲームを開く。

ゲームのホーム画面が映る。そこには肩ほどの長さをした髪を一つに結んだ、涙ぼくろのある青年の姿が。



涙ぼくろの青年 ≪おかえり。今日はどんな一日だったんだ?≫


なつみ 「っ・・・!」


なつみ (たくさんいるキャラの中でもあたしの最推しはこのアレン・・・!はぁ、今日も推しの顔がいい・・・。明日もがんばろーっと。)


アレン ≪?なんだ?じっと見つめて・・・。俺の顔に何かついてるのか・・・?≫



アレン、きょとんとした顔。



なつみ (このゲームの推しポイント!把握しきれないほどのホームボイスの豊かさとリアルなLive2Dで、まるで推しが本当にスマホの中にいるみたいに思えること。一目見ただけでいかにこのゲームのクオリティが高いかを知らしめることができる!)


アレン ≪そうだ、また新しいイベントが始まったみたいだぞ。今度は何をやるんだか・・・。行ってみるか?≫


アレン、画面の向こうに微笑みかける。


なつみ 「!!」



なつみ、突然心臓を抑えるとベットに突っ伏する。



なつみ (推しの尊さに殺されるかと思った・・・!尊死・・・!?)



なつみ、ゆっくり顔をあげると再びスマホに向き合い、画面の下にある“ガチャ”を押す。

画面が変わり、斜めに二分割された画面には片側にはアレン。そしてもう片方にはOPで画面に向かって手を差し出していた快活そうなくせ毛の青年が映る。

その画面にはおしゃれなフォントでこう書いてある。『大魔法士の卵ガチャ』



なつみ (リリースされてまだ日も浅めだから、あんまりSSR自体ないんだけど、なんとこの度魔法を使っている新規絵!魔道具初公開!!あぁ、真剣な表情で魔法を使っている推しがカッコよすぎる・・・!)



なつみ、早速11連ガチャを押す。

学校の講堂のような背景に十一枚のカードが現れる。それが一枚一枚カードがめくれ、裏絵から表絵に変わり・・・。



インナーカラーの入った少女 「あはははは!結局駄目だったんだ?」



次の日、高校の教室にて。なつみはインナーカラーが色落ちし、金髪のようになっている少女、ふゆかに昨日のガチャの結果で笑いものにされていた。



なつみ 「落ち込んでるんだから、言わないでよ・・・。」

ショートカットで眼鏡をかけた少女 「まぁ、まだガチャの期間はあるから。」



席についてわかりやすく落ち込んでいるなつみを隣に立っている小柄でショートカットに眼鏡をかけた少女、みはるが励ます。



なつみ 「うん。ミッションとか未読のストーリーで石貯めて、ピックアップの時再挑戦しようと思う・・・。」


ふゆか「結局何十連したの?」


なつみ 「40。」


ふゆか 「それでSSRは出なかったの?」


なつみ 「いや、出たよ。」


ふゆか 「一枚?」


なつみ 「ううん、二枚。」


ふゆか 「お?結構出てるじゃん。」


なつみ 「でも、どっちもノアなの!!」


ふゆか 「あー・・・。例のノア。」


なつみ 「狙って出したアレンより天然で出たノアの方がずっと多い・・・。」


ふゆか 「そんなに出るならホームに置いてあげれば?」


なつみ 「えー、置く?」



なつみ、制服のブレザーのポケットからスマホを取り出す。



ふゆか 「というか、ただウチが今回のガチャキャラ見てみたいだけなんだけどね。」


なつみ 「まぁ、いいけど。」

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