第12話 俺達は無罪だ!!
「あ、ありがとうございます!!!」
「ふ、まぁまぁ…大した事はしてない、困った時はお互い様ーーー」
「本当に助かりました!!」
「………え………私………?」
「ありゃ?」
俺的に最かっこいいポーズでクリスの感謝を待ち構えるが、彼女はイヴの方へ行ってしまう。
イヴは意外そうな顔をして、俺もトンチンカンな声が出てしまった。
「最初に助けたのは………アイツじゃん……?」
「そうだそうだ!!!最初に大したことしたの俺だぞ!!」
「…………大したことだったんじゃん……」
もっともな疑問をぶつけるイヴ、彼女の言葉に乗っかり恥も外聞も捨てて恩を着せにいく俺。
そんな俺を白い目で見ながら冷静にツッコミを入れるイヴ。
「え?、だってこの子は貴方のペットなんですよね?貴方の指示で助けに入ったんじゃないんですか?、まさかペットが飼い主の指示もなく行動するわけもあるまいし」
「「…………………」」
これまた論理的かつ客観的な正論をぶつけられ数瞬固まり、その後お互いを見合いながら固まる俺達。
「違うのですか?」
「…………あーー、大したことしてない………困った時はお互い様だからさ…………」
疑問に疑問を重ねてくるクリスにイヴは苦笑いしながら口を開く。
「クソ、クソ、畜生、畜生、畜生!!」
俺は悔しさから何度も床を殴りつける、口の中がしょっぱいなぜだ。
「お、お名前をきいてもよろしいですか!!?」
「………私はイヴ・エクス・マキナ……こっちは
「ふふふ、俺はパァーフェクトなパワァーを持つイヴ様のちゅぅぅぅーじつなしもべ、セルリだァァァァァ、よろしくなァァァァァァァァァァブルわぁぁぁぁぁぁ!!」
「イヴさんと…………セルリちゃんは何でそんな変な喋り方なんですか?」
「気にするなァァ、ブルワァァァァァ」
「…………無理だと思う………」
話し込んでいる俺たちは近寄る人影に気づかなかった。
「なるほど………酒場で乱闘とかベタな事をしたのはお前らか」
「え?」
「………あーー………」
筋骨隆々の大男が話しかけてくる、確かこのギルドのギルドマスターアレックス。
「ちょいと面貸してもらおうか?」
「「……………」」
腕を鳴らし威嚇してくる筋肉達磨、俺たちは再度顔を見合わせて頷きあう。
「「ソル!!!!!!!!」」
「どこへいくつもりだ」
「あふぅん!?!!?」
「…………やっぱ無理か………」
全速力で逃げるもあっさりアレックスに捕まる俺達。
ーーーーーーー
「まさか零式使いの俺達を捕まえるとは……ギルマスの名は伊達じゃねぇな」
「…………零式使いって響きはかっこいい……けど要は無能ってことなんじゃ……?」
「そういう言い方もあるかな!!」
「……………もういいや…………」
「ふふふ、二人は本当に仲良しなんですね」
ギルドの応接室に通された俺達、アホな事を言っている自分にイヴは律儀にツッコミを入れてくれる、いやぁ〜ボケがいがある。
イヴと俺のやりとりを微笑を携えて見守っているクリス。
「ゴホン!!、さて、こんなところに来てもらったのは他でもない………先程の一件だが……」
話を進めるためにわざとらしく咳き込んで無駄話をやめさせ、本題を話し始めるアレックス。
「………あの、その、私達は暴れてないです…」
「そうだそうだ!俺たちはむしろ喧嘩を止めたぞ!」
「ああ、それはギルド職員達も見ていたのでわかっているつもりだ」
「え?、それじゃ何でこんなところに連れてきたんだよ?」
「一言礼を言いたくてな、アーロンの暴走を止めてくれてありがとう」
「へ?、………いやいやいやいや大したことはしてない、困った時はお互い様さ!!!!!」
「…………言えてよかったね…………」
「ここ最近アイツの行動が過激さを増し、手を焼いている、それでも仕事ができるなら良いんだが失敗続きで迷惑なんだ、これ以上は我がギルドの信頼が無くなる、クソーー、こんな時ハルがいてくれればな…………」
「ええ、そうですね」
アレックスの呟きに頷くクリス。
「へ?お、俺がいればってどういうーー」
「
「ブルワァァァァァァァァ!!!!?!?」
(………だから貴方がハル・セルリアンってことは…………内緒だって言ってるでしょ………?)
(わ、わかった、すまん)
「ど、どうした?」
「い、いやいや、なんでもない気にしないでくれ」
「…………で、そのハルって人がなんなの………?」
「あ、ああ、アイツはあの三人の介護をしていたんだ、アイテム管理、スケジュール管理、料理に斥候、細かいことは全て奴が担っていた」
「ええ、地味ですが重要な仕事です」
「アイツらは戦闘に関しては文句はないがそれ以外はてんでダメの典型的な脳筋思考の冒険者だからな、戦闘さえうまければ全てうまくいくと思っている、そんなわけがないのに」
「えへへへへ、そ、そうなんだ、そんなにそいつが重要なのかぁ〜えへへへへへへ」
「あ、ああ、そうだが、なんでお前そんな気持ち悪い顔をしているんだ?………というかその竜は一体………」
「…………えーーと、私はドラゴンテイマーなんです………」
「な、なに!!?、そ、そんな馬鹿な!!ありえん」
「え、う、嘘でしょ?」
「うひひひひひ」
(…………ハル、嬉しいのはわかったから職業だけ相手に見せて………)
(へ?、ああ、わかった)
「ステータスゲスト限定閲覧許可!」
俺は声高らかに叫ぶ。
「あれ?」
その状況に少し疑問符を浮かべるクリス。
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職 業 ドラゴンテイマーLv15
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「お、おおお、本当なのか!!」
「…………まぁ………そうですね………」
「ど、ドラゴンテイマーというならば、どうだ?冒険者にならないか?、なるというならば少しおまけして普通はFからだが特別にDランクから始めてもらってもいいぞ」
「…………じゃあお願いします…………」
「よ、よし、これが冒険者プレートだ」
「……………すいませんが疲れたのでそろそろ帰ってもよろしいですか………?」
「あ、ああ、すまなかった、送ろうか?」
「………いえ、大丈夫です」
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そんなこんなで宿屋に移動する俺たち。
「あ、じゃあそろそろ私もお暇させてもらいます、さようなら」
「……………さようなら………」
「ま、まってくれ!!」
「はい?」
「………………」
「そ、その、も、もしかしたらアイツらが逆恨みで襲ってくるかもしれないから、し、しばらくは一緒に行動しないか?、ひ、一人より三人の方が心強いだろ!!!」
「え、で、でも………」
「なぁイヴもそれが良いと思うよな!!」
「…………ま、私も止めに入っちゃったからね………手を出すなら最後まで面倒見なきゃダメか………」
「そ、そうだよな!!ど、どうだクリス!!」
「………それじゃあお言葉に甘えさせてもらいます」
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