第5話 いたずら
――突然だが、今私のいるこのクラス(1年3組)の全員がどうやら「能力者」と呼ばれる生徒らしい。
最初この話を聞いたとき正直「厨ニ」の感じ2文字が頭に浮かんだ。おいおい。そういうのはマンガとかラノベだけで十分なんだけど、まぁ、能力者といっても「右腕が
能力の種類は様々だが全員に共通していることが2つある。
1つ目は、能力によって「殺す」という行為は行えないということ。
(使い方によってはそう言い切れないものもあるのではないかと私は思っているので少々不安だが)
2つ目は、能力を持つものにしか他の能力者の「能力を認識」することができないこと。無能力者(一般人)に能力を使っても効果がないものがほとんど(確証が無いので)らしい。
つまり、「殺す」ということができないのは一般人に対して能力の効果がないからということになる。そして、自分は能力者だと言っても周囲からしたらただの変態に見えて通報されかねないからかあまり己の能力を誇示するようなことも今のとことろはない。
6年前、6月のあの夜に私が感じたあの揺れは能力者にのみ感じるものだったらしい。揺れ感じることができた人間はごくわずかだった。しかし、そのほとんどがこの高校の近くのエリアの人だそうだ。あまり噂にはなっていないが(そもそも能力を認識することができないからか)ここの他にも2校ほどこの高校と同じような特別クラスを持つ学校がある。この3校に共通するのは謎の揺れの2年後、つまり4年前からこういった能力者が集まったクラスが作られるようになったらしい。
どうやら「能力者以外が能力を認識できない」代わりに能力者どうしが自らの意思とは関係なく自然と近くに集まっているらしい。その理由はさだかではないが、その証拠に最初に作られたときは10人足らずだったこのクラスに集まる生徒が4年目の今年は30人になっている。ちなみにうちの高校の1クラスは30人前後で人数があまりいなかった1年目は10人の能力者と20人の普通の生徒が混ざったクラスだったらしいがそれほど大きな問題は起こらなかったらしい。まぁ、厨ニ集団のいるクラスだったと言うような話は聞いたこともあるが……。
入学式次の日のHR(ホームルーム)で担任がそう話していた。3組みの担任は綾川千尋(あやかわ ちひろ)先生といって、スラリとしてた長身にクールなショートヘアーの女性だ。ちなみに、『地獄耳』の能力者らしく同じ部屋で声にして話した言葉はすべて聞こえてしまうんだそう。便利そうだけど何でも聞こえるっていうのも困ったことが多そうな気がすると思う。実家が道場をやってたらしく本人もなかなかの腕前だそうで「悪口を言おうものなら即成敗する!」と何度も口を酸っぱくして言っていた。
――――
「あ!もしかして!」
また独り言を言ってしまった。恥ずかしい。
「ん?月島、今日はやけに独り言が多いな」
ふと、横を見ると数列離れた席の男子がしたり顔をして笑っている。もしかしてさっきのもこの男子のせいだったの?どうやら『思っていたことを口に出させる能力』にハマってしまったようだ。
......それで何がわかったんだっけ?
まったく困ったものだ。能力をいたずらに使うなんて。せっかくひらめいていたのに忘れてしまったじゃないか。
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