授業サボって出会った可愛い後輩のおかげで人生が変わるはずが無い

枯れ尾花

第1話 出会うはずのなかった2人

その日、俺が学校をサボったのは別に特に理由があった訳では無い。


何故と聞かれたら気分と言わざるを得ないと思う。

人生初めてのサボりはどこか高揚感と少しの罪悪感で満ちていた。


両親ともに仕事が忙しく放任主義で勉強さえしっかりすれば良いという考え方なのでサボりは咎められないとは思うが、少しは緊張して先生に見つからないかと周りを確かめながら目的地も無く歩いていた。


だから、後輩の彼女を見つけれたのだと思う。


笹倉琴音ささくらことね、俺が通う富江山高校の1年生だ。そんな彼女が俺と同じ私服でパンフレットみたいなものを見ていた。


部活も入っていない俺は後輩の名前なんて5人も覚えていないのだが、彼女のことは知っていた。


可愛くて優等生という噂が、名前と共に俺の耳に入るくらいにまで聞こえてきていたからである。


だが、彼女が平日の朝から私服で何をしているのかは分からなかった。


まぁ声をかけてみようともまるっきり思っていなかったので立ち去ろうとした時、いきなり風がふいた。


彼女が持っていたパンフレットが風に持っていかれてこちらのやや上空の方へ飛んできた。


俺はジャンプして何とか反射神経で掴むことが出来た。


取れて良かったと安堵しつつも内容をみて少し驚いた。それはバンジージャンプのパンフレットだったからだ。何故、彼女がこれを持っているのかは不明だ。


「すいませーん。ありがとうございます!ってあれ間野まの先輩じゃないですか!?」


「2つ聞いてもいいか?まずなんで俺の名前を知ってる?それとなんで笹倉·····さんは私服なんだ?」


彼女は俺の2つの質問をガン無視してこう言った。


「先輩、一緒にバンジージャンプにいきましょう!」


出会わないはずの2人はこうして出会った。








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