第17話 止めないと私、調子に乗っちゃうよ。
誕生日に外デートの約束は取り付けた。プロポーズをするにあたって、指輪はどうする?一緒に観たドラマか映画かで、指輪の箱をパカッと開けてプロポーズするシーンに感動して、ナオさんが鼻をすすっていたことは覚えている。
指輪に関してはうってつけの相談相手がいる。俺の同期で営業部の若狭コウジという男だ。入社当時から気が合い、一緒に飲みに行ったり、遊びに出たりしてきた。去年の夏に同じく営業部のカイト先輩と山登りしたのもコウジと一緒だ。そしてこの山登り時に一緒だったのが百貨店勤務のコウジのお姉さんやその友人だった。コウジやお姉さん以上の相談相手はいないだろう。
俺から半田先輩に想いを伝え、恋愛関係になったことを今回コウジだけには話した。「いつの間にそんな関係に?」とは言われたが、ずっと憧れていた半田先輩に告白したらOKをもらえたということにしている。もちろん、既に1年近く肉体関係を持っていたことは言わない。本題であるプロポーズの事も「3年近く一緒に仕事をしてきて、お互いによく分かり合えているだろう」と賛成してくれて、応援するとも言ってくれた。まずはお姉さんに話を通してくれて、連絡先を教えてくれた。
土曜日の午後、ナオさんを送り出した後で新宿伊予丹へ向かう。コウジの姉、アヤさんが働いている百貨店だ。4階ジュエリーアテンダントのカウンターに15時頃来るようにとのことだった。いわゆるデパ地下や催事場にはよく来るが、4階に来るのは初めてかもしれない。
カウンターには女性の店員さんがいて「若狭アヤさんと15時にお約束をしている刈谷といいます」と名乗るとインカムで連絡を取ってくれた。アヤさんは普段このフロアにはいないらしい。
「お待たせしました。」アヤさんがカウンターへ近づいてくる。
「お久しぶりです。お時間を取っていただいてありがとうございます。」
「いえいえ。弟の友達だし、一緒に穂高を登頂した仲じゃない。何でも遠慮なく言ってね。」一緒に山登りした時にも思ったが綺麗な女性だ。ナオさんはどちらかと言えば童顔で優しい感じの美人だが、アヤさんはシャープでモデルのような美しさがある。女子アナには朝向きの顔と夜向きの顔とがあるらしいが、ナオさんは朝向きで、アヤさんは間違いなく夜向きの顔だ。
「早速だけど、指輪だよね。こちらはアテンダントの杉本さん。この道のプロに相談に乗ってもらえるから安心して。」
「杉本です。よろしくお願いします。」と最初にカウンターで話しかけた店員さんから名刺をいただいた。
「私から簡単に説明すると、こちらの刈谷さんが彼女さんにプロポーズをしようと考えておられて、指輪を選びに来られたという経緯で、彼女さんの好みやサイズはまだ聞いてなかったわね。」
「実はサプライズでプロポーズしようと思って一人で来ているので、好みやサイズは分からないんです。」
「例えば、彼女さんと一緒に撮った写真や、彼女さんの画像とかありませんか?」杉本さんの落ち着いた声。
「あります。…これです。」スマホのロックを解除し、写真のアプリを開いてアヤさんにスマホを預ける。ナオさんがプレゼン前にロープレしているのを動画で撮った真面目なものから、出張先でご飯を食べている時にふざけて二人で肩を組んで自撮りした“ゆるい”画像まで色々ある。
「綺麗な女性ですね。失礼ですがご年齢は?」とアヤさん。
「実は年上で、30歳です。」
「なるほど、年上かぁ。……画像を見てるとあまり主張が強いアクセサリーを着ける方ではなさそうね。仕事柄なのかもしれないけど、落ち着いた大人の女性って感じ。」
「あ、『オープンハート』。若狭さんさっきの画像、…ここ拡大してください。」いくつか画像を見ていく中で杉本さんがある画像に食いつく。ナオさんが時々着けているネックレスだ。
「本当だ、ティファニーだね。…ふふふ、婚約指輪、高くつくわよー。」アヤさんが楽しそうだ。すべての画像を見終えた杉本さんの分析によると、不鮮明な物もあるがティファニーのアクセサリーが多いようだ。ただ大分古いデザインの物もあり、お気に入りの物を大事に使う性格なのか、思い出の品の可能性があるとのことだ。いずれにせよ、ブランドはティファニーが良さそうだ。
「アテンダント杉本。ティファニーさん、エンゲージのホットセラーを用意いただいていいですか?これからお客様とおうかがいします。」インカムで杉本さんが連絡をした後、3人でティファニーのテナントへ移動した。
恥ずかしい話、俺はこれまで女性に指輪を買ってあげたことがない。アヤさんは「大丈夫、そんなの珍しいことじゃないよ。カイトもそうだったし」と言ってくれたが、いざ指輪を目の前に並べられると緊張する。
「用意してもらっているのが婚約指輪でよく選ばれている商品です。値段も色々な価格帯がありますよ。」杉本さんに促されて一通り見てみる。
「うーん、まいったなぁ」正直な感想だ。ナオさんは我儘だから気に入らなかったら絶対身に着けてもらえない。
「もしかして、彼女さんが気に入ってくれなかったらどうしようって思ってます?」アヤさんも鋭い。
「高いお買い物ですから不安ですよね。例えばですが、プロポーズはこの中の1つをダミーで使って、後日お二人でご来店いただき、改めて指輪を選らばれたらいかがですか?」
「そんなことできるんですか?」
「いいですよ。」とアヤさんはサラッと答える。
「ありがとうございます。お願いします。」
「では、こちらの『セッティング』のデザインはいかがでしょう。ティファニー好きならコレをご存じないはずはありませんし。」杉本さんも笑顔だ。
「はい。シンプルで上品なデザインだから、きっと似合うと思います。」
「となれば、あとはサイズね。」アヤさんが「燃えてきた」と左手を腕まくりする。
「私の手を握ってください。」俺が躊躇していると「カイトに遠慮してるの?仕事だよ。ほら」と促してくれた。体温をもった白磁とでも言えば良いのだろうか、白くてなめらかな手だ。口に含んでねぶりたくなる衝動を抑えて、できるだけ柔らかく握る。
「薬指や小指、人差し指とか握ってみて。感覚で良いんですけど「このくらい」ってのが分かりますか?」
「たぶんですけど、若狭さんの薬指と同じくらいだと思います。」
「なるほど。彼女さんの身長は私と同じか、少し低いくらいですよね。」
「はい。」
「たぶん8号だと思います。」アヤさんがサイズを言うと
「夕食の後のプロポーズとかで万が一指輪が入らなかったらがっかりされますし、念のため9号にしておきましょう。」杉本さんがアドバイスをくれた。むくんだりしていると指輪が入らないことがあるらしい。
「では、こちらの商品になります。」指輪をブランドカラーの箱に収めてくれる。アヤさんが「インパクトも大事」と1カラットのダイヤを選んでくれたので、存在感がある。価格面でもカードの限度額に近いくらいの金額だ。
「ありがとうございます。こちら借用書か何か書いた方が良いですか。もちろん、失くさないようにはしますけど。」
「結構です。万が一の時は私が買い取ります。その代わり、ご婚約成立の際にはお二人で当店にご来店いただいて、お好みの指輪をお買い上げください。」コウジによるとアヤさんは『外商の魔女』と呼ばれているらしい。外商の詳しい仕事内容は知らないが、お客様に商品を薦め、その気にさせるのが抜群に上手いらしい。俺も再来店することが間違いない上に、次回の商品選びも金額が安い商品は選びにくくなった。確かに高い買い物になりそうだ。
「ビシッと決めておいで。頑張ってね。」とアヤさんは送り出してくれた。プロポーズ当日まで約10日。世間も年度替わりで慌ただしい中、電車に揺られ帰宅した。
火曜日の夜。水曜日からお泊りすることが多いナオさんだが、月の日が終わり、俺がずっと我慢しているだろうから1日でも早い方が良いだろうと「来ちゃった」らしい。ナオさんなりの優しさだ。
二人ともシャワーを浴びて、俺は髪を乾かし、ナオさんは乾いた食器を片付けている。
「今日からは大丈夫だよ。我慢できた?」
「土曜の夜に一人でしちゃいました。」
「ははは、私が帰ってからすぐじゃん。」
今日は仕事が遅かったから既に23時を過ぎているが、ナオさんはその気だし、俺もそのつもりだ。
「ねえ、今晩さあ、“ごっこ遊び”に付き合って欲しいんだけど。」ベッドの端に座ったナオさんが誘ってくる。
「どんな遊びですか?」
「私がユウジ君に色々命令して、ユウジ君は何でも言うことを聞くの。」
「あー、ソフトなSM的なやつですか?」と聞くと、ナオさんは恥ずかしそうに頷く。
「いいですよ。」
「真面目にやってよ。」俺の答えを聞いたナオさんがすぐに念を押してくる。
「ナオさんこそ真面目にやってくださいよ。中途半端なのが一番恥ずかしいですから。」
「もちろんよ。…時々ユウジ君が私の足元に座って、パジャマや下着を脱がせてくれるじゃない。あれ、ドキドキしちゃってさ。1回、私が命令して色々やってみたいんだ。」
「へー、いいですよ。じゃあ、近くで座りますね。」ナオさんの足元で正座しようとする。
「ちょっと待って、まず私の目の前で裸になってよ。」
「はい。」俺はパジャマと下着をゆっくり脱いで、畳んで床に置いた。
「ふふふ、もう半ダチだよ。興奮してるの?」ナオさんがベッドに腰かけたまま俺の顔を見上げ、仮性の皮を右手で剥いてくれた。
「あ。」と思わず声が出てしまった。
「ちゃんと上手に洗えてるかなー。」俺のモノを指で摘まんで、カリ首を見回す。
「カスは付いていなかったけど、チェックしている間に完全に勃っちゃったね。…じゃあ、跪いて私のパジャマとショーツを脱がせてよ。」
「はい。」座っているナオさんの左右の足の間に跪き、パジャマを手前に引っ張る。ナオさんも腰を浮かせてくれたので、すんなりと脱がすことができた。今晩は紺色のショーツだ。
「ショーツも失礼します。」こちらはほつれたり、破れたりしないようにゆっくり脱がせる。畳んだパジャマの上にショーツを乗せて、俺のパジャマの隣に揃えて置いた。
「今日疲れたからさー、脚をマッサージしてよ。」
「はい。」左足を手に取り、足首を回したり、足裏やふくらはぎを指圧したりする。脚を持ち上げているので、指圧の度に太ももが左右に小さく揺れる。左足の後は右足を手に取り、同じようにふくらはぎをマッサージした。ナオさんのアソコが目の前にあり、目のやり場に困る。
「なに勝手にふくらはぎで手を止めてるのよ、太もももほぐしてよ。」左右に股を開いて誘惑してくる。
「すいません。太もももやります。」俺はなるべく脚に集中するようにするが、脚の付け根を指で押す時にはどうしてもアソコが目に入る。
「ふふふ、チラチラ見てないで堂々と見たらどうなの?私のアソコを見たいんでしょ。」
「いや、…えっと、はい。」
「じゃあ、「見せてください」ってお願いしてごらん。」ナオさんは妖しく笑っている。
「先輩のアソコを見せてください。お願いします。」とマッサージする手を止めてナオさんを見上げてお願いした。
「ははははは、よくできましたー。」ナオさんは右脚を俺の左肩の上に乗せ、膝を曲げて足で抱くように俺の身体を股間に引き寄せた。至近距離でアソコが見える。恥丘からショーツをはみ出ない程度の長さに揃えられた陰毛が生えている。割れ目の上の方に控え目なヒダがあり、クリは隠れている。股間特有の生臭い匂いが少しするが、ナオさんのアソコに白いカスが残っていたことは一度もない。
「本当に見るだけなの?ボーっと見られているだけじゃ私は全く気持ちよくならないんだけど。…少しは気を遣いなさいよ。」
「えっ、どうすれば…。」
「舐めてって言ってるの。」
「でも…。」
「でもじゃないでしょ。」ナオさんは立ち上がって俺を床に押し倒し、仰向けの俺の顔を足の間に跨ぐ形で立つと、俺の胸の上にドスンとお尻を下ろして見下ろしてくる。
「えっと、ユウジ君?止めないと私、調子に乗っちゃうよ。」小声で聞いてくる。
「いいよ。ほら、なりきって。」右手でナオさんのお尻を軽くペンペン叩き、先を促す。
「じゃあ、遠慮なく。」
「私の指示なんだからできるわよね。舐めなさい。」ナオさんは右手で俺の髪の毛を掴み、俺の顔に股間を押し付けてくる。
「はい。」俺はわざと躊躇いがちにクンニを始める。押し付けられている顔を股間から離して息継ぎをする時に嫌そうな顔をすることも忘れない。ナオさんはナオさんで、いつものように気持ちよさそうにクンニに浸ることなく、手で俺の頭を押さえて圧迫してくる。
「全然だめ。話にならないわ。本当に私を満足させる気があるの?」
「あります。頑張ります。」
「もういいわ。つまらない。」10分程クンニを楽しんだ後、ナオさんは再度立ち上がり小物入れのゴムを取りに行った。
「半田先輩、すいません。俺頑張りますから、もう一度お願いします。」体を起こして正座し、ナオさんの後ろ姿に向かってお願いをした。
「じゃあ、舐めるのはもう良いから、コッチであんたの本気を見せてみなさいよ。」ナオさんは正座している俺の隣に座り、左手で俺のモノを握りながら挑発してくる。
「はい。一生懸命腰を振ります。」
「ははは、私が上になるに決まってるでしょ。あんたは動かなくていいから。その代わり、私より先にイったら本当に怒るわよ。」ナオさんは俺の頭を軽くはたいた後、モノにゴムを被せながら言う。
「さあ、仰向けになって。…ほら、チンチンがすごく硬くなってる。上司の前でモノを大きくして恥ずかしくないの?仕事中に変な事考えてないわよね。」
「恥ずかしいです。職場には内緒にしてください。」
「どうしようかなぁ。バラして君を首にもできるんだよ。」ナオさんが騎乗位でモノを自分の身体に差し込む。
「うっ。」わざと大きめにリアクションをする。
「あーあ、私達ついに肉体関係になっちゃったね。」ナオさんはゆっくり腰を前後に動かし始めた。ナオさんの得意技だ。手を俺の胸に着き、俺の乳首も指で刺激してくる。
「ほら、どうした?頑張るんじゃなかったの。もう腰が浮いてきてるよ。動くなって言ったわよね。」
「すいません。」
「ふははは。いい?これが大人のセックスよ。私の言う事を聞いて、いい子にしてたら私がもっと色々教えてあげるから、刈谷君も秘密を守るのよ。分かった?」
「はい。絶対誰にも言いません。もっと教えてください。」
「可愛い子。もっとはやく食べればよかった。」ナオさんは唾を俺の左乳首に垂らし、乳首を刺激する指の動きを滑らかにした。ハッキリと分からなかったが、たぶんこの辺りで一度腰の動きが止まった時にナオさんは一度イったと思う。俺もイかそうとして刺激を強くしたのだろう。俺も急がなくてはならない。俺はナオさんが騎乗位をする時は意識的に早くイクようにしている。「ナオさんの騎乗位には敵わない」、「気持ちよくて我慢できない」と常々言っているからだ。相手にこれなら必ずイかせることができるという得意技というか拠り所を持たせると相手も喜んでその技を使うものだ。
「先輩、…ヤバいです。」
「ダメよ。…我慢しなさい。」ナオさんの呼吸も切れ切れだ。
「無理です。……先輩すいません。イキます。」俺も気持ちよくて本当にイってしまった。モノがナオさんの中で脈打つ。
「ふふふ、おっかしい。まだダメだって言ってるのにチンチンが私の中でピクピク動いてるよ。」ナオさんが勝ち誇る様に上に乗ったまま見下ろしてくる。
「はぁ、はぁ、気持ちよすぎて我慢できませんでした。すいません。」俺がゆっくり体を起こすとナオさんも俺から降りて隣に座り、俺のモノからゴムを外す。
「見てごらん。いっぱい恥ずかしい液体が出たね。何でちゃっかり君も満足しちゃってるのよ。」笑いながらゴムを俺の目の前に突き出して揺らす。
「恥ずかしいです。やめてください。」ナオさんが持っている使用済みゴムを取り上げる。
「ははははは。もう良いわよ、ありがとう。楽しかったぁー」ナオさんは満足気だ。
「ナオさん、前から思ってたけどS気がありますよね。」
「えー、そうかな?ユウジ君と付き合うまで、一人エッチのネタにしていたシチュエーションだったんだけど。」
「エロ動画の見すぎじゃないですか?」
「ユウジ君こそ中々の演技だったわよ。ちなみに、私がユウジ君に滅茶苦茶にされる逆パターンで妄想していたこともあるんだよ。」
ナオさんがティッシュで一通り後始末が終わった後、俺に甘えて抱き着いてくる「また“ごっこ遊び”しようね。」
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