第10話 でもね、不思議だと思わない?
土曜日、遅い朝食の後、まったりとした時間。
ナオさんは「呪いが解けた」とか、「憑き物が取れた」とか、そういう表現を使ってコンプレックスを克服しつつあることを表現している。顔を近づけて話す事も多くなったし、ソフトなキスも多くなった。
「今まで気にしていたのがバッカみたい。いつか言わなきゃ、ちゃんと言わなきゃって不安で仕方なかったけど、時間を無駄にしたなぁ。」二人ともパジャマ姿のままで、ベッドに仰向けの俺の上にナオさんが重なり、胸板に顎を乗せながら言った。
「たぶんですけど、今までの時間よりも、これからの時間の方が長いから大丈夫ですよ。」俺はナオさんの髪や背中をずっと撫でている。
「そうだね。じゃあ、これからの時間はユウジ君に期待しちゃおうかな。ふふふ。」
ナオさんは照れているのか真っ赤になった顔を近づけてきて、キスをした後、頬を俺の顔にスリスリしたり、鼻を俺の耳裏に擦り付けたりしながら、大きく息を吸い込んでいる。
「はぁー、なんか安心する。」
「俺、そんなアロマオイルみたいな効能ないですよ。」思わず笑ってしまう。
「うーん、そういうのとはまた違う種類の匂いなんだよね。リラックスするだけじゃなくて、お股がキューとなる時もあったり。」
「マジですか?。」
「私ね、ユウジ君以外の男の人に愛されたことが無いのかもしれない。もちろん、処女ではないんだけど、ちゃんと大事にされたことが無いから、私も男の人をどうやって愛したらいいのか分からないんだよね。」
「ナオさんが好きなようにしてくれて良いんですよ。ナオさんも俺に身体を許してくれてるじゃないですか。」
「でも、嫌じゃないかなとか、嫌われないかなとか考えちゃう。」
「じゃあ、俺もNG行動があったら言いますね。俺はいきなり頬をぶったりしないから、大丈夫ですよ。」
「ははははは、あの時はゴメン。」
「ナオさんが絶対イキたい時は、自分で俺の上に乗って動くじゃないですか。あんな感じで1つ1つ、二人で気持ちいいことを開発していったらいいんじゃないですか。」
「へへへ、ありがとう。ユウジ君、良い人すぎる。」
「本当に好きにしていいんだよね。嫌だったら止めてね。」
「分かりました。」何をするつもりか分からないが、たぶん俺は、首を絞めて殺されるでもない限りナオさんを止めない。
「ユウジ君がいつも私にしてくれているように、いっぱいナデナデして、いっぱいキスしてあげる。」
ナオさんは部屋の遮光カーテンを閉めた後、自分でパジャマを脱いで、ショーツだけになった。俺も自分でパジャマを脱いでボクサーパンツだけでベッドに仰向けになったが、ナオさんがすぐに俺のパンツを脱がせてくれる。自分のお腹に半ダチのモノが当たり、ペチンと音を立てた。ナオさんはプッと吹き出しながら左手で髪をかき上げ、ソフトなキスをしてくれた。
ナオさんは、半分だけ俺の上に重なるように乗ってきて、右手で優しく俺の頬や髪、肩や胸を、形や感触を確かめるようにゆっくり撫でていった。ナオさんの指が俺の乳首に触れた時に思わずピクンと動いてしまい、それを知ったナオさんは指で俺の乳首を弄びだす。
「ここ、気持ちいいの?」恥ずかしくて俺は頷くことしかできなかった。ナオさんはここでスイッチが入ったのか、俺の右頬や耳たぶを唇でフワリとなぞっていたナオさんは顔を俺の胸の位置に移し、俺がナオさんのおっぱいでいつもやっていることをやりだした。思い返せば、俺も今まで女性の方から身体を求められることは無かった。俺がいつも欲望の赴くまま女性を撫でまわし、入れる。俺はほぼ毎回イけたし、女性も演技かどうか分からないが気持ちよさそうにしてくれていたから、セックスとはそういうものだと思っていた。
「ねえ、ユウジ君のチンチンが私の太ももやお腹に当たってるんだけど、なんかヌメヌメする。何これ。」カーテンを閉めて光を抑えているとはいえ、ナオさんが笑っているのが分かる。
「すいません、我慢汁です。」
「ふふふ、ははは、男の人も濡れるんだね。面白い。」ナオさんは自分の太ももについたヌメリを指で触って感触を確かめたり、匂いを嗅いでいる。
「ちょっと、何か恥ずかしいです。」
「ユウジ君、パンツ脱いですぐにゴム着けることが多いから、私、初めましてだ。」
「私もユウジ君のを触っていい?」身体を起こしてナオさんが言った。
「粗末なモノですが、どうぞ。」ナオさんが俺のモノに手を伸ばし、指でつついたり、握ったりして感触を確かめている。
「実は、初めの4、5回くらいまで痛かったんだよ。」
「えっ、そうだったんですか?」
「ほら、あの時は出張の時しかしなかったから間隔が空いたでしょ。慣れるのに時間がかかって。あと、緊張もしてたのかな。…でも、今は気持ちいいから安心して。」
ナオさんは俺のモノを握ってシコシコこすりはじめる。
「でもね、不思議だと思わない?ユウジ君のがあと2、3mm大きかったら痛くて苦痛だし、逆にあと2、3mm小さかったらスカスカで気持ちよくないんだよ。私達、偶然ピッタリって、すごいよね。」
「ははは、確かにそうですね。」思わず笑ってしまった。確かに相性ピッタリだ。俺もナオさんの中が好きだし、お互いの肌が吸い付くように貼り付くハグも好きだ。
「私のことを好きになってくれて、ありがとう。」ナオさんはもう一度俺の上に体重を預け重なってきた。少し見つめあって、俺が目を閉じると優しいキスをしてくれた。俺はナオさんを撫でながら肌触りを、ナオさんは俺に顔を擦り付けながら感触や匂いを、お互いにしばらく楽しんだ。
「ユウジ君、そろそろ出したいんじゃない?」
「はい。長い間ずっと勃ってたからちょっと下腹部が痛いです。」
「え、なんでお腹が痛くなるまで我慢するのよ。ちゃんと言ってよ。」ナオさんはショーツを脱ぎ、スーツケースのポーチに入れているゴムを取りに行ってくれた。部屋が薄暗くしていても、ナオさんがゴムをキッチリ着けてくれる。
「ナオさんが元気だったら、上に乗ってほしいです。」俺からリクエストしてみる。
「いいよぉ。ランニングやジム通いは伊達じゃないんだから。」ナオさんはそう言うと、俺のモノを握って位置を確かめた後、ゆっくり腰を下ろして入れてくれた。ナオさんは両手を俺の胸に付き身体を支えながら、足を開いてスクワットをするように上下にピストン運動をしてくれた。ナオさんが「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」と規則正しく動く度に、ナオさんの中にニュルんとモノが奥まで入り、気持ちがいい。思わず「すごい」と小さく声が漏れてしまった。
ナオさんは額に薄っすら汗をかきながら微笑んでいる。俺はナオさんが疲れて休憩を取るまでもなく、数分でイってしまった。
「ユウジ君の恥ずかしい液体が脈打ちながら出ているのが分かるよ。」ナオさんは動きを止めて体を起こし、俺のが入ったまま縮むのを待ってくれた。
いつもどおりナオさんが先にシャワーを浴びて、その後に俺もシャワーを浴びた。ナオさんは洗面所でお化粧をしている。
「ナオさん、今日、お家に帰るんですよね。」リビングを片付けながら聞いた。
「うん、帰るよー。着替えを入れ替えなきゃだし、ポストも見なきゃ。」
しばらく片づけをしながら待っていると、ナオさんがリビングに戻ってくる。淡いブルーのブラウスとグレーのニットパンツにロングカーディガンを羽織っている。普段着でもナオさんは綺麗だ。
「少し早いですが、はい、どうぞ。」ホワイトデーのチョコレートだ。
「うわぁ、ありがとう。って言うか、ユウジ君のお家にいる時に一緒に食べようよ。」
「そう言うと思って、もう1つ買ってあります。だから、そっちは持って帰って食べてください。」
「気が利くねー。できる彼氏を持つと女性ホルモン出まくりだわ。」
「もー、その言い方。もう少し女っぽく言えませんか?」
「へへへ。タクシー呼んじゃったけど、もう1回する?」ナオさんはチョコを手に持ったまま俺の腰に手を回し、少し背伸びをしてキスをしてくれた。
「うーん、まだチャージできていません。」
「ははは、じゃあまた来週の出張中ね。」タクシー到着の電話が鳴る。
「リップ付いちゃったかもしれないから、後で唇拭いてね。」ナオさんは大きなスーツケースを引いて玄関から出ていった。
幸せだ。たぶんナオさんも同じように感じてくれていると思う。バレンタインを過ぎた頃からナオさんが俺の“身体検査”を始めていることからも、ナオさんがこれからの時間に期待をしていることが分かる。
会話の流れの中で少しずつ俺の宗教感、借金の有無、賭け事の好き嫌い、家族構成などをそれとなく聞いてくる。そして、「私はね」と、ナオさんの事も教えてくれる。ナオさんは宗教に強いこだわりは無く、クリスマスも初詣もお盆も楽しむ。借金は無いし、賭け事もしない。両親と妹がいて、自分も含めてみな健康らしい。
嬉しいという感情が一番だが、プレッシャーでもあり、ナオさんから仕掛けてきたらどうしよとか、こちらから仕掛けて、またストップをかけられたらどうしようとか、考えてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます