第4話 私の口、ニンニク臭くない?
今回は俺一人のソロ出張。7月で暑さが本格的になった中、以前ナオさんと行ったU市の仕事のフォローアップだ。要するに「うちのシステムは上手く機能していますか?」とご機嫌伺いに行くのだ。基本的に問題等あるはずがないので、平社員の俺が一人、1泊で訪問した。
午後一番から受託先を訪問して動作確認やヒアリングをしたが、問題は無く、お客様は喜んでくださっていた。16時には全て作業が終わり、我が社に作業終了の電話報告をした。
電話を受けてくれたのは偶然ナオさんだった。
「特に問題なし?了解、お疲れ様。」、「今晩はそっちで休んで、明日帰っておいで。」そう言ってくれた。
前回の出張と同じホテルへチェックインした。U市出張のナオさんとの夜を思い出し、部屋で一人大きなため息をつく。あの晩、俺はナオさんに怒られ、一人このホテルの部屋で寝たのだ。
春コートを着たり脱いだりで調整するくらい季節。あの時はシステムの納品が夕方に終わり、駅近くの餃子店で夕飯を食べた。お酒も入り「美味しい、これも美味しいね。」といい感じにご機嫌になったナオさんは、帰りに俺の手を引いて部屋に招き入れてくれた。
いつもみたいにナオさんが先にシャワーを浴びて、俺もシャワーを浴びた。俺がユニットバスから出てきた時、ナオさんはパジャマ姿でベッドの上にぺったんこ座りをして、自分の肩を揉んでいた。「俺が」と言って俺もベッドに上がると、ナオさんは「サンキュ」と言って肩の力を抜き、髪を手でまとめて首を揉みやすいように出してくれた。力加減を聞きながらナオさんの肩を揉み、少し長い首も揉んだ。「お、お、いい、ねー。」声が途切れ途切れだった。
ナオさんに俯せに寝転んでもらい、少し硬い背中を親指で所々指圧し、二の腕は両手の平で挟んで錐揉みした。腰の周りも指圧した。ナオさんはスカートでもパンツでもベルトをしているが、くびれた腰にはベルト本来の役割は必要なく、飾りとして腰にぶら下がっているだけだった。
ナオさんのリクエストでふくらはぎと足裏も押して差し上げた。よく歩く人だからふくらはぎも固い。俺がいる前でもスクワットやストレッチをする時があるくらい体型には気を使っているみたいだ。プニプニの足裏。土踏まずを指圧した時、力が入りすぎたのか「痛、」と言われたが、そのまま寝てしまうんじゃないかってくらい気持ちよさそうにしてくれていた。
「お客さん、1時間コース2万円になります。」冗談で言う。
「えー、高くない?」俯せのまま、ナオさんは俺のボケに付き合ってくれる。
「じゃあ、新しい施術の練習台になってもらいましょうかね。」俺はナオさんにもっと気持ち良くなってもらおうとクンニをしたくなった。
「“そういう”動画の見すぎだよ。あり得ないし。」
「ちょっと、何、何?」と好奇心で目を輝かせているナオさんに仰向けになってもらい、パジャマとサーモンピンクのショーツを脱がせる。一気に脱がせたのでデザインはよく分からなかった。俺がナオさんの両足を持ち上げ、左右に広げたところでナオさんも察したのか、「えっ、いいの?」という顔で俺を見たが、俺は無言で頷き、ナオさんの大事な部分を舐めた。
「初めてだから。」早口で上ずった声の告白だった。俺は女性にするは初めてではなかったが、ナオさんはされるのが初めてだったらしい。ぷっくり盛り上がった恥丘、ムダ毛処理がされた陰毛の下に顔を埋め、精一杯丁寧に舐めて差し上げた。
ナオさんは、最初は落ち着かないのか、くすぐったそうにモゾモゾ腰を動かしていたが、最後には腰が浮き、太ももの間の俺の顔を力いっぱい挟むように力んでいた。
ナオさんは仰向きから身体を起こして俺の頭をポンポンと叩き、満足したことを伝えてくれた。
「さっきのすごく良かったよ。」
「指圧ですか。」
「違う、違う。それも良かったけど、舐めてくれたやつ。初めての感覚だったわ。」
「男冥利につきます。」ナオさんの顔が近づいてきたので、キスしてくれると思ったが途中で止まった。
「あ、ダメだわ。私の口、ニンニク臭くない?」
「え、そっちですかぁ。」と俺が顔をしかめて応えると。
「分かっているならよろしい。」と、ナオさんは俺のおでこに軽くキスしてくれた。
「君はいいの?」そう言ってくれたナオさんに甘えて、ゴムを取りに行き、自分で着けた。
キスを封じられた俺は、ナオさんにまた俯せになってもらい、腰を持ち上げた。ナオさんは急にあわてて「ダメ、ダメ」と手を後ろに振ってきたが、バックからナオさんを突いた。四つん這いのナオさんは、猫があくびをするように背中を反らせ、首を上にもたげた。何度も俺が突いている間、小さくイヤって聞こえたような気もしたが、ナオさんの頭は上に持ち上がったり、何かを我慢するように下を向いたりを繰り返し、感じてくれているように見えた。俺は射精に至り、最後に力を込めて奥まで突くとナオさんの両腕は力を失い、ナオさんは枕に顔を埋めた。
でも、その後だった。それぞれが下半身をティッシュで拭き終わった後、俺はナオさんに軽く頬をぶたれた。顔は笑っておらず目つきは厳しかった。「私、後ろからされるのは嫌い。」、「なんか下に見られているというか、馬鹿にされているみたいで、屈辱感があるの。」、「今回は我慢したけど、次やったら張り倒すわよ。」そう言って、ショーツとパジャマを拾い、最後に「今日は自分の部屋に戻って」と言ってユニットバスに消えてしまった。
俺は謝罪も言い訳もする機会をもらえず、服を着て自分の荷物を持ち、徒歩5分。自分が泊っていたこのホテルへと戻ってきたのだった。
シングルルームで一人、天井を眺めて思いふける。
ナオさんの仕様は難しい。不可解な部分もある。新しく増えた項目は、『ナオさんはクンニを気に入ってくれたが、クンニ後のキスはNG。』まあ、これは当然か。
『バックは厳禁。』あんなに怒られると思わなかった。幸いナオさんとの関係は続いたが、バックはあれが最初で最後だ。ナオさんは自分が嬉しいことをしてもらうと、相手にも喜んでえることを頑張ってやる義理深い人だ。仕事でもお客様に喜んでもらえるように、細かい設計を時間をかけて作り込むし、エッチの時も、俺がナオさんに気持ちよくなってもらおうと頑張ると、ナオさんもこちらを満足させようとしてくれる。あの夜も多分、俺がナオさんに尽くしたのを尊重してくれて、途中で止めたりせず俺がイクまで我慢してくれたんだろう。
もちろん、俺は毎回満足させてもらっている。男は逝ったのが一目瞭然だが、ナオさんはどうなんだろう。演技だったら?と、ふと不安になった。
俺はこの会社で社会人になって、学生時代から続いていた彼女と別れて以来、彼女と呼べる存在はいない。学生時代から、どちらかというとモテる方だったと思う。ただ、今は出会いが無いのと、紹介をしてもらって連絡を取り合う様になっても、仕事で夜遅くなったり、長期出張で間隔が空きすぎるのか、自然消滅してしまうからだ。だからナオさんとK市で初めて秘密を作るまで2年以上は、“ご無沙汰”だった。
ナオさんに彼氏がいるという話は、本人の口からも、会社の噂でも聞いたことが無い。どのくらいの期間いないのかも知らない。ナオさんは恋人とどんなセックスをするのだろう?勝負下着を着けたり、恥ずかしそうに身体を手で隠したり、緊張しながら上目遣いで男が手を出してくれるのを待ったりするのだろうか?想像ができない。
ナオさんは、俺にはやりたいことや、やって欲しいことをはっきりと言う、積極的というか無遠慮で、自分の欲望に正直な女性なのだ。俺に対しては恋愛感情が無いからだろうか?「俺のことをどう思ってくれているのですか?」気になる時はあっても、これを聞くと俺たちの関係が一気に崩れてしまいそうで、今まで聞けていない。
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