第2話 まぁ、何事も経験だから。

 ナオさんとはその後も何度も一緒に仕事をした。1週間~2週間、期間は案件ごとに違うが、社泊も出張もした。社泊中は、そういう場所がない上に守衛さんの見回りや、セキュリティーカメラがあるから絶対に無理。でも、出張だからといっても毎回するわけではないし、逆に一度の出張中に2度3度することもあった。基本的にはナオさんの気まぐれだった。


 6月のH市の時は、仕様が割と緩くて、納期に余裕をもって仕事を進められていた。後4日もあるのにほぼプレゼン準備も整っていた。だからナオさんのホテルの部屋で缶詰めってことはなかったが、お弁当を買ってナオさんの部屋で一緒に夕食を食べたりはしていた。


 「この辺、何もないですね。」ナオさんが部屋を片付けている間、先輩ご希望の唐揚げ弁当を2つ、部屋にある気持ちばかりの丸机に広げる。二人分お弁当を向かい合わせに並べて、飲み物の缶も置くと一杯いっぱいの大きさだ。

 「まあ、賑やかな遊ぶ所というより、閑静な住宅街って感じなんじゃない。生活するならこんなところの方が良いかもよ。」俺が弁当を買いに出ている間にシャワーも浴びて、パジャマ姿のナオさんがドライヤーで乾かした髪を櫛で梳きながら荷物を隅に追いやっている。肩より少し長い黒髪。少しウエットで艶がある。


 「いただきます。」椅子に腰かけ夜のニュースを見ながら、他愛もない話をして、ご飯を平らげた。

 「ここで、シャワー浴びていったら?こっから見えるくらい近くのホテルに泊まっているんだから、ゆっくりしていきなよ。」ナオさんの言葉に甘えて、シャワーを借りた。ナオさんはダブルルームをシングルユースしているから、タオルやアメニティーが二人分ある。

 スッキリした後、俺も備え付けのパジャマを着て、冷蔵庫のペットボトルの水を飲みながら、窓の外を見ていると、テレビを消してスマホを見ていたはずのナオさんが隣に立って、

 「ホテルやビルが駅近くしかなくて、お家や背が低い建物ばかりだね。東京とは違うね。」

 「退屈しないのかな。」ボソッと言ってみる。

 「ウナギ美味しいよ。」

 「高いじゃないですか。」

 「でも、元気出るよ。」 

 「うーん、ホントかなあ。全然みなぎる感じしませんけど。」

 ナオさんは窓から離れ、椅子の方へ戻っていく。俺もカーテンを閉めて椅子へ戻り腰かけた。


 しばらくお互いに会話もなくスマホをいじっていた。パジャマは上下セパレート、スウエットみたいに簡単に着れるものだ。時々ナオさんをチラ見してみる。椅子に片足を立てて座り、少し含み笑いをしながらスマホをいっじっている。仕事上ナチュラル系メイクだからか、すっぴんでも眉はあるし、目もパッチリで、唇も何も塗ってなくても艶がある。普段とあまり違和感がない。パジャマの裾から出ている白い足首は細く、足の爪も綺麗に手入れされていた。

 「何チラチラ見てるのよ。」

 「いや、すいません。キレイだなーと思って。パジャマでスッピンで、こんだけ美人なのは先輩くらいですよ。」ワザと大袈裟に言ってみた。

 「ウーソー、前に社泊で疲れきって髪ボサボサの時「色気ねー」ってバカにしてたじゃない。」

 「ああ、俺言いましたねー。よく覚えてますね。」

 「当然よ。ちょっとショックだったんだから。」

 「マジですか、すいません。ごめんなさい。でも、先輩がキレイなのは間違いなくて、今、俺、半ダチですよ。」

 「バカ」少し噴き出すよう笑い、ナオさんはスマホを丸机に置いてベッドに向かい。上に上がった。

 「しようよ。」こちらに背を向けたままそう言って、部屋の灯りを消した。ユニットバスと部屋の扉の小さな灯りだけが残った。

 ゴムだけ幅が狭いベットボードの上に準備し、パジャマも下着も全部脱いで俺もベッドに上がった。


 仰向けになって、枕を顔の上に載せて隠しているナオさん。俺は左横に座り、ナオさんのパジャマのズボンを脱がし、薄い水色のショーツも脱がせた。本当に面白いのか、照れ隠しなのか分からないが、枕ごしでも小さくクスクス笑っているのが聞こえた。横に座ったままパジャマの上着を脇のところまでまくり上げる。ブラはしていなかったので、そのままナオさんの右腰骨から臍、そのまま左乳房に向かってゆっくり舌を這わせ、膨らみ着くと柔らかい胸を口にいっぱいに含み、吸い上げた。また臍から左の膨らみに同じように舌を這わせ、今度は胸を円を描くように上がっていき、乳首だけになった時、舌を絡ませ、舌で弾き、感触を楽しんだ。

 数度舌がお臍と胸を往復し、さすがに、我慢できなくなったのか、ナオさんは枕を離し、身体を起こして俺の顔を見た。

 「もしもーし、固いのが私の太ももに当たっていますよー。半ダチじゃなくて完全に起ってるじゃん。」

 「そうですね。」俺はベッドボードのゴムに手を伸ばそうとしたが、ナオさんが身体を起こして先に取り、それを右手に握りしめたままベッドに手を付き、俺が「えっ」という顔をしていると、俺の頭を左手でやさしく撫でながら「入れる前に舐めてよ。」少し上目遣いで言ってきた。前のU市出張の時にクンニをして“差し上げた”のが気に入ってくれたみたいだ。

 俺は黙ってナオさんの足の間に移り、顔を太ももの間にうずめた。ナオさんはナオさんで自分から足を肩幅より少し広げ、両膝を立ててくれた。ナオさんの膝裏を俺は左右の手でナオさんの上半身側に押し、少し腰が浮いたところで舌に力を入れて、割れ目の下から上にすくい上げるように舐め上げる。何度も何度も上下の動きを繰り返し、時には左右の太ももの内側も舐め、時にはポチッと控えめに出でいるアソコも舌を柔らかくして丸く円を描くように舐めた。少し苦い味がしてきた。この間ナオさんの腰は、ピクピク小刻みに動き、太ももやふくらはぎが力んだり力が抜けたりするのが分かった。


 10分くらい経った時だったと思う、右手でずっと握っていたのか、クシャっとなったゴムをナオさんは自分の臍と陰毛の間にそっと置いた。たぶん少し身体を起こして手が届くのが、そこだったのだろう。またベッドに横たわり、目をつぶりハアハア息を漏らしている。

 俺はゴムの外袋を破り、完全に準備OKの自分のモノにゴムを被せた。

 一気に奥まで入れる。2~3cmナオさんの腰が浮き、肩がベッドに着いたまま背が反った。後は横向きになってもらったり、体位を変えながら出し入れを続ける。パジャマの上着は着たままだったが、パジャマで隠れていても形の良いナオさんの胸が前後に揺れているのが分かる。

 しばらくしていると、自分のモノがギュウっと包み圧迫され、その後スゥーとナオさんの力が抜けた。ここでモノを差し込んだまま動くのを止めて、ナオさんの内股の痙攣が止まるのを待った。ナオさんの体温が少し上がったような気がする。ナオさんの乱れた前髪をそっと掻きあげ、頬にかかった髪もよけて表情を見ると、目を軽く瞑ったまま頬は赤らみ、少し肌がしっとりしていた。


 「気持ちよかったよー。」ナオさんが、けだるそうに体を起こして、自分から身体を離した。繋がっていた俺のモノもナオさんから抜けてしまった。ベッドから降り、冷蔵庫の方へ歩いたナオさんは、冷えたペットボトルの水を3口くちに含んだ後、部屋の隅にある開けっ放しのスーツケースの所へ行き、ポーチから何かを取り出した。俺がもう行為は終わりかと思って見ていると、その場で立ったままパジャマの上着をまくり上げ、脱いで「フウ」と一息ついた。

 「そんなに心配そうに見なくても、ちゃんと続きするわよ。君はまだイッてないでしょ。」いたずらっぽく笑う。少しオーバーに腕を振りながらベッドに駆け戻って戻ってきてくれて、少し汗ばんだ身体で俺を強めに抱きしめてくれた。

 向かい合ったまま一旦身体を離して座り、ナオさんはまだ勃起している俺のモノからゴムを外し、新しいゴムと付け替えてくれた。ポーチから取り出したのは新しいゴムだったのだ。俺は「自分でします。」と言ったが、「まぁ、何事も経験だから」と訳が分からない理由でナオさんがやってくれた。自分以外の誰かに着けたり外したりしてもらうのは初めてだった。マジマジと自分のモノを見られるのは恥ずかしい上、興奮して勃起しているモノを触られるのが輪をかけて恥ずかしい。外す時は俺の陰毛を巻き込まれて少し痛い思いをしたが、スムーズに取ってもらい、新しいのを着ける時は「アレ、こうかな、アレ?」と試行錯誤して、やっと装着できた。

 ナオさんは、ニコっと笑うと「よし、おいで。」といって俺の手を引きながら横になった。俺もナオさんに覆いかぶさり、5分もしない内に、ナオさんと繋がったまま溜まっていたものを出し切ることができた。


 プレゼンまでの残り4日で、一波乱あるとはこの夜は分からなかった。

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