いつかの夕暮れ
一人暮らしがしたい。
小さくて古いけれど、こざっぱりして清潔な平屋かどこかで。
持ち物は少しだけ。
でも、お気に入りのものばかり。
台所の流しの正面にはレトロな擦りガラスが嵌っていて、その窓のところに、小さなコップか何かを置いて、庭で摘んだ花を飾る。
タオルじゃなくて、使い込んだ手拭い。
その他にも、シンプルで古い、でも必然性のある道具が少しだけ。
たまに、歳の離れた友人がやって来て、その家で暮らす。一週間とか、一ヶ月とか。
私は季節の野菜の味噌汁とか、オムライスとか作って、その人とちょっとだけ家族みたいに生活する。
庭にはたぶん、照葉樹林帯の植物が植っている。柑橘の実る木とか。
よく手入れされたその庭で、日が暮れてゆくのを、たまにぼんやり眺める。
何も心配が無くて、満ち足りて、穏やかで、優しくて、少しだけ切ない感じの風が吹いていて、どこかで晩ご飯の匂いがして、私は子供みたいな気持ちになるのだ。たぶん。
そんなような一人暮らしがしたい。
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