第25話 BLって・・・(後編)
『ドキッ!丸ごとふんどし。男だらけの水泳大会』が開始して、芳賀君が第一関門に入る。最初のアクシデントにより50人いた参加者が30人ほどに減っていた。
第一関門は宝探しだった。プールサイドに設置してある長机に置いてある紙を一枚とり、そこに描いてある柄と同じものがプールの底に沈んでいる。それを探しあて、審査員のいる机に持っていくというもの。
芳賀君は直ぐにプールサイドに上がり、紙を持ってきた。そして、またプールに戻り潜って探し始めた。そこに続々と後続の人たちが宝探しに入って行く。そして、凛花(クララ)さんもその宝探しに突入する。
芳賀君は意外に早く目的の物を探し当てると審査員の机に持っていく。
「これを」
芳賀君は審査員に見せるとOKを貰い、プールに戻っていく。
凛花(クララ)さんは即座に宝を探し、審査員に提出。芳賀君の後ろを凛花(クララ)さんが猛追していた。この勢いは凄いと思うけど、今日の所は芳賀君を絶対的に応援したい。だって私の彼氏(仮)だし。私は咄嗟に「芳賀君。頑張れー」と声が出てしまった。
「はい。頑張ります。任せて下さい」
芳賀君は進みながらも私に手を振ってくれた。何か、本物の彼氏彼女みたいな行動で私は少し恥ずかしくなって照れてしまう。
「可愛いじゃない。今日は見せつけてくれるねぇー」
「僕は負けません」
「そう言った男から女の子を奪うの最高なんだよねー」
凛花(クララ)さんは芳賀君の後ろで揶揄ってくる。
そして、芳賀君は第二関門に突入する。今度は・・・
「さて今度の、第二の関門は水中フラフープです。水中にフラフープが設置されてあります。それを潜水でフラフープの輪の中に通ってもらいます。ですが、フラフープは6つありますがすべて通らないとOKにはなりません。水中には日本野鳥会の方の協力で潜って皆さんが通過しているか確認してもらっています」
ハイジさんが次の関門の説明をしてくれていた。何でこんなくだらない事に日本野鳥の会の協力って、凄いのか凄くないのか正直分からなかった。その説明を聞きながら、芳賀君はフラフープを潜水でくぐっていくのが見える。流れるように泳いでいる。人魚かなと私は芳賀君の泳ぎに感心してしまう。
その後ろには凛花(クララ)さんには迫っていた。二人はフラフープを難なくクリアし、次の関門に向かっていた。ファンも負け地と関門を通過していく。凄いはファンも最初に凛花(クララ)さんのあれを見たら怖くて棄権すると思っていたのに欲望とは恐ろしい。
そうこうしている内に二人は次の関門に突入プールサイドを走っていた。次の関門が最終になる。
「さて、次の関門はおぉっと。ここでアクシデントだ。後方からきていたファン達が一人の選手を囲んでいる」
ハイジさんの解説が乗ってきているように聞こえた。
「何ですか、あななたちは」
芳賀君の周りにはアーデルハイド凛花(クララ)さんのファンが取り囲んでいた。そこに一人見知った顔が奥から現れた。
「ククク。ここは通しませんよ」
「だ、誰ですかあなたは?邪魔です。どいて下さい」
「我々はアーデルハイドクララ親衛隊ファンクラブ会員No.001相田久光。そして、あなたと同じ学校の同じクラスメイトでもあります」
芳賀君の目の前に立ちはだかったのは、学校のクラスメイト相田君だった。相田君は眼鏡を光らせ、ふんどし姿を物ともしなかった。
「誰ですか?知らないですね」
「ちょ・・同じクラスメイトなのに覚えてないんですか?」
「はい」
芳賀君がはっきり返事をすると相田君は動揺をする。凛花(クララ)さんが私たちのクラスに転校してきた時、結構喋ってたのにちょっと可哀そうになってきた。
「拙者は凛花さん基,、クララさんの願いを叶えるもの」
「そんなのであなたは幸せなんですか?」
「拙者にとって、クララさんの願いを叶えることが最高の至福」
相田君はここを通すまいと手を広げる。そして、その裏に他のファンも同じ行動をとっていた。凛花(クララ)さんは相田君とファンに向けて「ありがと」と投げキッス。相田君とファンは凛花(クララ)さんの言葉に鼻息を荒くし、より一層手を広げる。
「東雲さんは僕の彼女です。邪魔しないで下さい」
「ここは通しません。クララ親衛隊の名に懸けて」
芳賀君の言葉が聞こえ、私の顔が熱くなる。ここで言うんかい。何か、こういった時に彼女と言われると恥ずかしいけど、正直嬉しかった。
芳賀君は向かいその場でスライディング。相田君の股をすりぬける。相田君の通せんぼ作戦をあっけなく突破された。相田君は振り向き、驚愕。
「何ですとー」
「これ、返しますね」
芳賀君が手に持っていたのはふんどし。相田君はまさかと思い自分の下半身を見つめる。そこにはあるべきはずのふんどしが無く、生まれたままの姿になっていた。私も咄嗟に自分の目を隠す。見てはいけないものを見てしまった。orz。夢に出てきそう。
芳賀君はふんどしを相田君に投げ、その場を後にした。凛花(クララ)さんを追いかける。相田君はその場でしゃがみ込む。
「きゃああああ」
相田君のまさかの女子的な悲鳴に私は驚く。相田君、何てかわいい声出せるのよ。
そして、凛花(クララ)さんが第三の関門と入っていった。
「ここで、クララが第三の関門に突入する。第三の関門はけん玉です」
ハイジさんはけん玉の説明をし出した。
「ここではけん玉の技(もしかめ)をやってもらいます。(もしかめ)とは大皿から中皿へ 中皿から大皿へ玉を移動させる技です。これをクリアするとゴールは目前です」
凛花(クララ)さんが第三の関門のけん玉に取り掛かる。意外や意外に凛花(クララ)さんのけん玉操作は苦手なようで、玉を大皿には乗せれるのだが中皿への移動は苦手なようで、直ぐに落としてしまう。凛花(クララ)さんの意外な弱点が発見される。
「くっそー、出来ないわ」
「女の子を落とすのは上手いのに意外ですね」
「うるさいわね。玉と棒の操作は苦手なの」
芳賀君も凛花(クララ)さんの横でけん玉に取り掛かっていた。凛花(クララ)さんは苦戦中。しかし、ここでミラクルが起こった。
「お、これは凄い。まさかのけん玉の技(もしかめ)を一発で合格したのは挑戦者」
ハイジさんの実況にも熱が入る。それもそのはず、まさかの芳賀君がけん玉を一発合格してしまった事だった。
「BL好きは玉と棒の操作はお手の物です。これは母さんの教えです」
「負けないわ」
芳賀君は凛花(クララ)さんにどや顔で言い切ると、凛花(クララ)さんは悔しがっていた。あの、その言い方だと芳賀君が・・・、止めておこう。
「じゃあ、お先に」
芳賀君はそう言うと第三の関門を後にして、ゴールへと向かう。まさかの大番狂わせ。
ドラ〇もんで言うところののび〇が射的が上手いくらいどうでもいい特技だけど。特技があるだけ凄い。その特技が小説にあれば良かったんだけど。
そして、『ドキッ!丸ごとふんどし。男だらけの水泳大会』は芳賀君のゴールで終焉を迎えた。一位になれずに、悔しがる者、とりあえず凛花(クララ)さんの近くにいれたことで歓喜している者と。凛花(クララ)さんは一位になれなかった事を本当に悔しかったようで泣いていた。私的には助かったの一言だけど。
一位の芳賀君は突貫作業で作った表彰台でなんだかよく分からいメダルをハイジさんから貰い喜んでいた。
「この喜びを誰に一番伝えたいですか?」
「あの方です」
芳賀君は私を指さした。私はギャラリーからまた注目され恥ずかしくなる。そして問題はこの後だった。
「それではあなたの願いを何でも叶えます」
ハイジさんがそう言うと周りのギャラリーは静かになり、静寂を迎えた。私も芳賀君が何を言い出すのか気になり、固唾を飲む。
「僕の願いはあそこにいる東雲さんの新作BL小説を早く読みたいことです」
「それでいいんですか?」
「はい」
「もう一度聞きます。ホントにそれでいいんですね」
「しつこいですよ」
ハイジさんは拍子抜け。もう一度、芳賀君に聞き直してしまった。普通の男性ならまぁ、ハイジさんや凛花(クララ)さんにあんな事やこんな事をお願いすると思うのだけど。ここからはご想像にお任せします。
てか、この大会主催ってアーデルハイドよね?私は凛花(クララ)さんからの呪縛の解放されたと思ったら、思いっきり私が流れ弾食らってるんですけど。これは素直に喜べない。
「後、これだけは言わせてください」
芳賀君がいきなりハイジさんのマイクを取り上げ、主張する。
「僕は大きい胸には興味ありません。東雲さんのまな板に干しブッ・・」
私の直感で芳賀君がその言葉を発する前に芳賀君の顔面に右ストレートをかましていた。
「言うなぁーーーーー」
私の悲痛の叫びだけが館内に木霊していた。
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