第9話 シュネー族

「「「かんぱ〜いっ!」」」


酒場にて俺とティア、そしてクライネで乾杯をして一気に飲み干す。


「くわ〜!真昼間から一杯やるのはたまらねーな!」


「シンの言う通りね、お金はないけど今日は特別よっ!」


「いやー、こんなにご馳走していただきありがとうございます!」


クライネもすごく楽しそうで何よりだ。


「俺はシン、清掃員として働いていたがクビになってこの街に行き着いて、今ではこうして冒険者として働いている!」


「私はティア、いろいろあって今はシンと組んで冒険者やってるわ!」


クライネに向かって順番に自己紹介をする。


「私はクライネ、いろいろあってあなたたちの仲間になりたいと思ってるわ!」


おいおい、今の説明じゃ俺以外の経歴が一切わからないのだが…


「ところでクライネはどういったスキルを持っているんだ?」


とりあえずティアはさておき、クライネについていろいろ聞いてみよう。


「私のスキルは氷魔法ですね!しかも私はあの有名なシュネー族なのです!」


「えっ、あのシュネー族っ⁉︎」


驚く隣でティアはキョトンとしている。


「ねえシン、シュネー族って何?」


「なっ、そんなことも知らないのか!シュネー族はこの世界において氷魔法において最強と言われている一族だ!」


「そっ、そんなことってなによっ!!」


ティアが頬を膨らませる。


「だが、そんなすごい一族がなんで俺たちの仲間になってくれるんだ?」


「まあ、いろいろありまして…」


クライネはなぜか遠い目をしている。


「いろいろってなんだよ!めっちゃ気になるんだけど⁉︎」


「ねえ、シン!女の子に根掘り葉掘り聞くなんて失礼よ!いい子そうなんだから、いいじゃない!」


「いや、一応聞いとかないと!だってこれこら一緒にクエストをしていく仲間なんだから…」


なんで途中からティアはクライネの味方みたいになってるんだよ…


「シンはそんなきっちりした男だから掃除オタクだの言われるのよ!」


「えっ、誰がそんなこと言ってんの!傷つくんですけど⁉︎」


「クライネ、よろしくね!」


ティアがクライネの手をとる。


「こちらこそよろしくお願いします!ティアさん」


「ティアでいいわよ!それとこっちはシンよ!同じく呼び捨てでいいわ!」


「それは俺のセリフ…」


まあ、いいか…


どのみち仲間は必要でほかの冒険者を待つほど時間もないしな。


「よろしくクライネ!とりあえず後で氷魔法だけでも見せてくれないか?」


「わかりました!では後ほどっ!」


いろいろ引っかかる部分はあるけどまあいいか!


「すみませーん!飲み物3つお願いしまーす!」


「「「かんぱ〜い!」」」





その日は飲んだ後、ギルドでクライネの追加登録を済ませて家に帰るとあっと言う間に寝てしまった。


「おはよう!2人とも起きろよ!」


「ん〜、おはよう〜」


「ふぁ〜、おはようございます」


しぶしぶ2人は布団から出て準備を始める。


「シン、今日はどうするの?」


「とりあえずクエストに参加したいが、その前にクライネの氷魔法とやらを見て見たいんだ!」


「わかりました。では後ほど披露しますよ」


各々が支度を終えてやっとのことで外に出て出発する。





「なあクライネ、なんでこんなところまで来なくちゃいけないんだ?」


「私そろそろ休みたいわ」


クライネに案内されるがままに来たのは街外れの大きな川沿いだ。


「魔法を使うからには周りに迷惑をかけないところでやらなきゃいけません!だから人のいないここまできたんです!」


「いや、それならこんなに離れなくても…」


「私の氷魔法はかなり強力なので万が一があっては困るのですよ!」


「はいはいわかりました。じゃあ早速だがクライネの力を見せてくれ!」


「いいですとも!!」


クライネの目に力がこもる。


ゴクリッ


なんとなく殺気というかオーラを感じる…


間違いない…こいつは本物だ…




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