警察庁幸福追及課2

上海公司

Case1 お金持ちを夢見る男子中学生の話 1

ダァン!


白昼の街に銃声が鳴り響く。


「京四郎ー!」


顔立ちの整った女子高生がたった今撃たれた男性警官に向かって叫びながら駆け出した。


「恋華ちゃん‥」


男性警官は胸から血を流しながら、ヨタヨタと女子高生の方へ歩を進める。

しかし、途中で力付き、地面に倒れ込んでしまう。


アスファルトの上に倒れた警官を抱きかかえ、女子高生は再び呼びかけた。


「京四郎、死んじゃいや!京四郎!」


整った女子高生の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。


「恋華ちゃん、ぼくは‥君のことを‥愛してる。」


警官は虚な目で女子高生を見て言った。


「私も、私も京四郎の事、愛してる。」


女子高生は警官と口づけをした。

しかしその直後、警官はがくりとうなだれ、この世を去った。


「うぇ〜ん、京四郎〜」


「あの、恥ずかしいんで映画館で号泣するのやめてもらえます?」


京太郎は先ほどまで隣の席で映画を見ていた幸田に言った。


「だって、だって恋華ちゃんかわいそうなんだもん。」


「はいはい、さっさと映画館出ますよ。」


京太郎は席に残った飲食物のゴミを一通り片すと、号泣するの幸田の腕を掴んで映画館から連れ出す。


先ほどまで京太郎と幸田が見ていた映画は、今をときめくスーパースター、亀有達也と土田マオが主演を演じる、女子高生と警察官が恋をする話であった。


しかしなんだ京四郎って。しかも最後撃たれて死ぬって縁起悪すぎだろ。

少女漫画の実写版ってこんな感じなの?

ヘビーすぎてお嬢様号泣してるよ。


京太郎はいろいろと突っ込みどころを抱えながら幸田を連れて映画館を出た。


「映画面白かったね〜、京ちゃん付き合ってくれてありがとう!」


幸田は京太郎に向かって笑顔で言った。京太郎は少しどきりとしながら


「はい‥」


とだけ言う。


 白のカットソーに夏らしい水色のワンピース。私服のお嬢様、もとい幸田凛花先輩は道行く人が思わず振り返って見るほど綺麗だ。普段制服しか見ていないせいで京太郎は余計に緊張した。

もちろん京太郎は幸田の警護役なので、そんなうつつを抜かしたような態度を表に出すような事はしなかった。


「京ちゃん、クレープ食べに行こ〜!」


今度は幸田が京太郎の腕を取りながら言った。


「ぼくはあんまりお腹空いてないんで結構ですよ。さっき映画館でポップコーン食べましたし。」


京太郎は言った。こんな大の大人の男がクレープのために店先に並ぶなんて死んでも嫌だ。

しかしお嬢様は許してくれなかった。


「京ちゃんったらまたまた照れちゃって〜。」


そう言いながら京太郎を引っ張って行く。


「いや、ほんとにお腹空いてないんですよ?

ていうか幸田先輩もさっきキャラメル味のポップコーン、コーラと合わせて食べてましたよね?Lサイズのやつ抱えて。あれ普通2人で分けるやつですよね?」

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