俄に非ず


書き記そうと思ってこの場所を開いたのに、書き記そうとして息が詰まって涙が溢れている。

体感したことがないはずの痛みに襲われたと言えばいいのか、それも分からない。ただ、知らないはずのそれを思い出したように苦しいのが事実だ。

焼ける空気を吸っては咳き込んで、また酸素を求めて大きく吸って、炎をまとって肺を潰す。見えない目はただ刺すような白を映すばかりで、焦げてただれ落ちたのだろう皮膚がじりじりと頭すら蝕んで。

ありえない記憶だ。そもそも産まれていないのだから。けれど、途方もなくそれは私に投げかけてくる。それが苦しくてたまらない。

あの歌はしばらく、聞かないでおく。忘れた頃にもう一度聞いて、それでも思い出したように感じるなら、その時は病院行きだ。好きだなと思った曲だったから、少し寂しいか。でも、あれは久々に、嫌だった。

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