寝入り端の一歩前
暑い気がする。ただぼんやりと。本当に、何とも無く。額に汗が滲まないくらいに。
体を動かしたわけでもないから、心当たりがまるで無い。眠いはずなのに眠れない。布団を鳩尾ほどまで下げて、ようやく少し涼しいかどうか。
口の中が乾燥しているように感じて、でも水を飲みにわざわざリビングまで行くのも気が乗らない。お誂え向きに溢れそうな唾液を仕方なく頬肉から歯茎へ回してからむず痒い喉の奥に流し込んだ。
このところ、よく考える。意識や感情や自我なんかが、どこから来てどこへ帰るのかと。いつか必ず終わるこの命で、何をすれば無駄でないかと。
多分死ぬまで答えは出なくて、死んでからどうなるかは分からない。この蜃気楼にあてられたような熱っぽさも、どうしてなのかは分からない、ただ、気まぐれに。時折荒れた肌が忘れてくれるなと刺激をよこすので、それをどうにか耐え凌ぎたいと眉間に皺を寄せる私である。
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