第10話 一
「開門!」
俺は
説明の時のようなものならば俺もただじゃ済まないだろうな。
「第一獄門」
スキルの発動と同時に俺の後ろに至る所から手が生えている禍々しい扉が現れる。
もちろん相手を閉じ込めて
「グルルルル…?」
カイノルークが俺の出す物は分からずとも異変を感じ取ったみたいだった。
(逃がさない。)
「『沈め貴様の業を、死した魂を背負いて』
スキルの発動直後から俺の右腕が少しずつ黒くなる。
その瞬間、あたり一帯は暗くなりカイノルークの周りに明らかに不自然な黒い霧が纏わりつき始める。
「グガガ…?ガアアアアアア!」
カイノルークは異変を敏感に感知し煙を振り払おうとするが糠に釘のような状態だ。
そして、おれの右腕が完全に黒くなった瞬間。
「ガ?グガガギガア。」
地面から大量の黒い
(まあ、おそらくスキルを使ってるからただの地面じゃないだろうなー。
多分冥界とかにつながってるだろうな。)
そんなことを知ってか知らずか、カイノルークは必死に腕を振りほどこうとするも、無数にある死者の腕はそんなことは許さない。
「オレガニンゲンヲヘラシテタタカイトメル。ニンゲンコr。」
カイノルークの言葉も腕たちに引きずり込まれ途絶えてしまう。
スキル起動後その場に残ったのは見たこともない腕輪だけだった。
「終わった…か。」
俺は
ついでに眼も解除して自分の体感を元に戻した。
(痛っつ!?)
目を解除したことで自分の右腕が壊死していることに気づいた。
(痛いけど、なんか凄い眠くなってきた。ちょっとくらいいいよね。)
「カツミ!いったい何があった?龍人は?その右腕は何だ?」
(師匠?
すいません、見せ場奪っちゃって。
あと質問多いですよ。)
そんなことを考えてるとエレナが泣きそうな顔で寄ってきて。
「ちょっと死なないでよ。お願いだから。」
(エレナか…。泣きそうになってる顔、ちょっと可愛いな。
そうだ。師匠呼んできてくれてありがとうな。
ごめん二人とも。心…配か…け…て。)
そこで俺の意識は暗転した。
――――――――――――――
カツミが入眠したことでが死んでしまったと勘違いしたエレナは泣き出してしまう。
「ちょ、ちょっと!お願いだから死なないでって言ってるでしょ!ねえ!」
「エレナ落ち着くんだ。気絶しているだけだ。」
「本当ですか?」
エレナは泣き顔でそう尋ねるが。
「死んではいないだけで、危険な状態に変わりはない。
特に右腕。早く治さないと二度と剣が振れなくなってしまう。」
「そんな…。じゃあ早くしないと。」
「ああ。早く屋敷に急いで帰って手当てするんだ。
私も聞きたいことが山ほどある。」
「わかりました。手伝います。」
そうして、龍人の襲来は幕を閉じた。
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