転生令嬢の私に未練はお任せください

第一章

1 過去の記憶

とある高校の女子トイレ、そこに鏡を見ながら髪を整えている2人の少女がいる。


「知ってる?うちのクラスの鈴木さん」

「いつもひとりでいる方の鈴木さん?」

「そう。そっちの鈴木さん」

「なになにー?」

「同じ中学校出身の子がいて、その子に聞いた話なんだけど……幽霊がみえるみたいだよ」

「え……幽霊?」

「そう。誰もいないのに誰かいるかのように話してたり、そっちに行くと怪我するよ!って鈴木さんが言ったら言われた子がそのままその方向に歩いて行ったらサッカーボールが飛んできて頭にぶつかったんだって。たいしたことはなかったみたいだけど」

「なにそれ。ちょっと怖い」

「ね。中学校でみんなに怖がられてぼっちだったみたい」

「へ~。だから1年の時もひとりだったんだ。……幽霊みえるの怖いな」

「ね。一緒にいると幽霊が近寄ってくるかもよ」

「えー!それめっちゃ怖いじゃん!!!」


 人間とは残酷な生き物だ。本人が近くにいるのに気づいていないのか、平気で陰口を言っている。そして、当の本人、鈴木さんは一番奥のトイレにいた。


 あぁ……このクラスでもぼっち決定かな……仲良くなってから怖がられて離れられるよりかは、いいか……


鈴木さんと呼ばれる少女は、いつもひとりだった。ひとりで誰も待っていない家に帰る。


家族も少女のことを怖がり、共働きを言い訳に毎日少女が寝たころに帰って来る。


 そして、今日も少女はひとり歩いていると

赤色の目をした黒猫が少女をじっとみていることに気がつく。


 

……??猫?私を見てる……



猫は少女と目が合うと、振り返り走り去ろうとした。


あっ!そっちに行っちゃだめ!!!!


 「危ない!!!」


 少女は、トラックの前に飛び出した猫を助けるために走り出した。


 少女はトラックに跳ね飛ばされ、地面に落ちた。頭から血がどくどくと流れ出て地面に広がっていく。


 薄れていく意識の中で少女は一点をみている。


その視線の先には先ほどの猫が


 

猫は無事ね……


「良かった……」


 少女の意識はそこで途切れた。


 


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