涙にも濡れない赤い糸

日南雨空

プロローグ:天使たちの戯れ会議


 ここは、人間の運命を決定する天界。そこに、リンゴほどの大きさの、いわゆる天使のようなものたちがふわふわと飛びながら楽しそうに、そしてどこか真剣そうに会話していた。


「この人たちくっつけちゃおうよー!!」

「いいね。」「いいね。」「いいね。」

「このほうが展開面白そうだもんね!」

「こら、そういうことじゃないでしょ!この二人を救うためでしょ?人間を幸せにするためじゃない。」

「そうだよ!あんまふざけちゃだめだよ!」


その生き物たちは、わちゃわちゃと楽しそうに会話をしている。どうやら、何かをみんなで話し合いながら決めているようだ。


「じゃあ、この二人に決定!!」

「いえーい!!」「これは見逃せないよ」

「まあ、見逃してもいいんじゃない?」

「まあ、そうだね。だってさ、」


「僕らがつないだ『運命の赤い糸』は、絶対に彼と彼女を惹かれあう運命にする。人間には見えないけど、その運命は決まってるんだから。」


「それもそうか。」「そうだね。」

「まあ、これでこの人たちも幸せになるだろうしね。」

「まあ、誰かさんが設定間違えて人間にも見えちゃうとか、そんなへましないといいけど。」

「そんなことするわけないだろ!」

「ふふふ。」「あははは。」

「じゃあ、今日は解散!!」

「おつかれさま!」「おつかれー!」


 そうして天使たちはそれぞれの方向へふわふわと飛んでいく。やがて、彼らの姿は光となり、刹那消えて見えなくなった。

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