第130話
ごくりと唾を飲み込んで彼の言葉を待つ。
今度はどんなぶっ飛んだこと言うのか──。
……けど、いつまでたっても彼は照れるばっかりで口を開こうとしない。
「……なに?」
少しイラついてきて彼の言葉を促す。
すると神永君ははっとしたように口を開く。
「ててててて手を、つないでいただけないでしょうか……」
彼の言っていることを理解するのに数秒かかった。
「なぜ」
動揺しているのがバレないようになるべく無表情のまま問いかける。
「……ですよね、調子に乗りました……」
しゅん……とうなだれる彼を見て耳が垂れた犬が思い浮かんだ。
……この顔に弱いんだよね……。
こいつはそれを分かっているのかな。
「──ん」
仕方なく手を出すと
「……え」
信じられないというような目で私の差し出した手を凝視する。
「い、いいの……?」
……いいもくそも、あんたが言ったんでしょうが。
「嫌ならいいけど」
手を引っこめようとすると慌てて自分の手を重ねる神永君。
「嫌なわけない!!!!!……でも今日はなんでそんなに甘いの??」
「……寒いからね」
……寒いから人肌恋しくなった。それだけだよって
──私は自分に言い聞かせた。
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