幼馴染とウマが合わない

第95話


「──麻井さん、お友達になってください!!!」



 ……最近、この台詞を言われることが急激に増えた。


 誰もが憧れる「お呼び出し」というものを何度もされるようになって。


 基本的には男子からが多いんだけど、たまに女子から呼び出される時はビビる。


 神永君のファンに囲まれて

「私たちの神永君をたぶらかさないで!!」

 とか言われちゃうのか?って思ってた。


 下手したら暴力的なことも──なんて漫画みたいな想像をしていた。


 ……だけど実際は

「“あの”神永君があんなに溺愛する麻井さんのこと、もっと知りたいの!!」


 ──だってさ。


 別に友だちが増えるのは嫌なわけじゃない。


 けど……返せ私の穏やかなスクールライフ。

 確実にあいつのせいだ。



「麻井さんって美人だけど近寄りがたくて……もっとクールなイメージだった。でも、神永と付き合って雰囲気変わったよね!」


 本日も貴重な休み時間を削り取られながら、呼び出された屋上へと行き──冒頭へ戻る。



 ……いや待てコラ。

 誰と誰が付き合ってると??



「や、付き合ってないから」

 そう手を振って言うと、その男子は

「え、そうなの!?……じゃあ、俺も頑張ろうっと!」

 と、ガッツポーズして言う。



 ……なんか、最近このパターン多いんだよね。

 なにこのモテ期。怖いんだけど。


「ああ……ありがと……」


 愛想笑いをして、軽く流しておく。

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