第35話
「私も、今日はあんたのこと考えてたら授業が全然聞けなかった」
ポロっと出た言葉。しまった、と思った時にはもう遅くて
「──え!!?俺のこと、考えてくれてたの???」
なんて彼が身を乗り出すから思わず後ずさりしてしまった。だけど神永君の目は何かを期待するように輝いている。
「……いや、あの……今のは違うんだって……」
……ああ、もう!!!またあのキラキラした顔だよ!!私、それに弱いんだって!!
「違うって何!?」
すごい剣幕の彼にたじたじの私。どうしようかと回避策を巡らせていると救いの手が差し伸べられた。
「話、おわったーー??」
ドアから顔だけ覗かせて様子をうかがう神永君の友だち。
ナイスタイミング!!!
「もー、優斗ってばタイミング悪ーー!!!」
いや、バッチリだよ。これ以上ないぐらいグッドタイミングだよ。
「何だよその言い方!!!俺のおかげで仲直りできたんだろ!?ね??まやちゃん」
首をコテンと傾げて尋ねてくる彼。
……ここにも可愛い奴いた。類は友を呼ぶってやつか?
ま、彼にはお世話になったから。ここは素直に
「……うん、ありがとう優斗くん」
そう言うと、優斗くんを見ていた神永君がぐるんと首を勢いよく動かして私のほうに振り返った。
元々大きい目をこれでもかと見開いている。
……怖いわ。
「え!!?ずるい!!!」
……また、突拍子もない……。今度はなんなの……。
「なんで優斗は名前なの!!?俺は名字なのに!?しかもなんか俺と態度が違うー!優しいんだけど!!」
名前くらいで敏感に反応しすぎ。さっきは私に「優しい」だなんて言ってたくせに。
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