第27話
憂鬱な授業が終わり、昼休み。いつものように、愛子とご飯を食べていると
「おーい、マヤ~??」
教室のドアから顔を覗かせるのは幼馴染の陸。私と視線が合うと目がなくなるくらいくしゃっと笑う彼。
「……なに陸」
彼は両手を合わせて
「次の時間、教科書忘れてさ!!貸して??」
と私にお願いする。
陸はいわゆる子犬系男子。いつもニコニコしてて、ムードメーカー。顔をくしゃくしゃにして笑う姿も、女の子に慣れてない感じも、可愛い顔してるくせに実は力持ちなところも意外と頼りがいがあって優しいところも……女子のツボ、らしい。
この前、愛子が教えてくれた。
でも私にとってただの幼馴染だし、頭なでたくなる時はあるけどときめくことはない。
陸も私には恋愛感情なんて抱いていないと思う。この間まで、彼女いたし。なんで別れたかは聞いてないけど。
陸は私の恋愛事情には敏感で、すぐに聞き出そうとしてくるけど自分の話は一切しない。
私も無理やり聞くことはないから陸の恋愛観とかは全く分からなかった。
「あー、はいはい」
机の中から教科書を出して陸に手渡す。
それを受け取った後、まだ何か言いたそうな彼に「何?」という視線を送れば、言いにくそうに口を開いた。
「……あのさ……今学校中の噂になってるのって、ホントなの??」
ああ──今朝のことか。あんだけ目立ってたらそりゃ噂にもなるよね。
軽く説明しようと口を開きかけて、陸の言葉に驚愕した。
「……神永凛と、付き合ってるって……」
「断じてナイ」
噂流したの誰だ出てこい。
あの様子を見てて、どこで私たちが付き合ってると判断した?
「ただのカップルの痴話喧嘩ぐらいに思われたんじゃないの?」
今まで黙って弁当を食べていた愛子が呟く。
机に突っ伏した私。彼が現れてから頭が痛いことばっかり。
──はい、平穏な学校生活おわった。
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