第24話
予想外に、冷たい眼差しで彼女を見下ろしているから、驚いた。
……こんな顔、するんだ。
「……別にあんたに関係ないよね?」
……こんな風に突き放すんだ。
私に接する時とは真逆の姿。この子と何か嫌なことでもあったのか……?
彼の非情な言葉に美人さんは少し顔を歪めて悔しそう。また私を睨んで
「私のことも名前で呼んでくれないのに……」
とポツリ。
……いや、睨まれても困る。私は被害者なんですけど。
「……当り前。俺、すきな子しか名前で呼ばないし」
──こらこらこらこら!!!
また周りがざわざわし始めた。
「……は?」
彼の爆弾発言に目の前の女の子も唖然としている。
私と神永君を交互に見て何かを悟ったのか、だんだんと顔が青ざめていく。私もなんだか頭が痛くなってきて額に手をあて、この場をどう凌ごうか考えていると急にぐいっと肩を引き寄せられてバランスを崩し、神永君の胸に凭れかかった。
……嫌な予感しかしない。
「まやちゃんは、俺のすきな子だから」
顔を覗きこまれて「ね?」なんて可愛く笑うけど、こっちは笑えねえよ!!!
なんせ目の前の女の子が気の毒すぎる。本気で泣きそうになってるから!!
「だーいすき!!」
大声で美人さんにも、私にも追い打ちをかけるこの男。
私……学校やめようかな。男子のひゅーという下手くそな口笛と女子の悲鳴が聞こえる。
「あの!!神永君が!?」
……いやだから「あの」って何だよ。
美人さんはとうとう泣きながら去っていってしまった。そんなことはお構いなしにご機嫌な神永君。
「言っちゃった♡」なんて照れてるけど、マジで頭おかしいだろこいつ。私を学校から追放する気か!?
──恥ずかしさと腹立たしさから、私の中でぶちっと何かが切れた。
「最悪!!!!大っきらい!!!!」
肩に置かれていた手を思いっきり振り払って彼に負けないくらいの大声で叫ぶと、隣でほかの女子と同じように悲鳴を上げていた愛子を引きずって理科室へと向かった。
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