第17話


 ──ちょっとまって今、1月ですけど。


 今、気付いたけど。

 鼻が真っ赤になっている。こいつ、まさか──。


「は?どこで待ってたわけ?」


 よくぞ訊いてくれた。私の聞きたかったことを代弁してくれる廉先輩。


「外!!作戦練ろうとしてたんだけど、まやちゃんと仲良くなるのが先だと思って戻ってきたんだ。まやちゃんが何時に終わるか聞くの忘れてたし、入れ違いになったら意味ないからここで待ってた!!」


 ……こいつマジで頭おかしいんじゃないの??今日の気温は“寒い”とかいうレベルじゃないと思うんだけど。


 今外に出たこの数分でも凍りそうで、早く帰りたい思いでいっぱいなのに。


 廉先輩はまたお腹を抱えて笑ってる。


「やべー、お前ほんと、こいつのこと好きなんだな」


 余計なこと言わない!!


「当たり前です!!!あなたには負けません!!!!!」


 鼻息荒く、何を言っているんだか。


「ふーん。──じゃ、俺もがんばろーっと」


 ──!!!!!!????


「!!!!!????」


 私とこいつ。顔の作りの綺麗さはレベルが違うけど、リアクションは全く同じだった。


 ──ほんとに廉先輩どうしたんだろう。ニヤニヤしてるから、どうせまた冗談で言ってるんだろうけど。


「え!!?そうだろうなとは思ったけど……いやでも……え!!?どうしようまやちゃん!!!!!」


 一瞬固まったあいつをチラッと見れば、やっぱり冗談なんて通じない彼はパニックになってるのか……私に助けを求めてくる。


 そんな彼を見て面白がり、さらに調子に乗った先輩は、隣にいた私の肩を抱く。


 ……呆れて何も言えない。先輩の手を振り払う気も起きないわ。


「あーーーーー!!!!!!!〇☓#&%☐@¥$△?◇*◎!!!?」


 ……ごめん、何言ってるか一文字も聞き取れなかった。


「だめ!!!!!絶対だめーーーー!!!!」


 何故か涙目の彼は私から廉先輩をひきはがすと、そのまま手を引いて早足で歩きだした。


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