第32話 チュージ 他の冒険者たち
「くそくそくそ。どうしてこうなった。」
ネズミ男チュージはダンジョン地下2階への抜け道を探す。
地下3階正規ルートはグリーンアントの「土厚壁」によって塞がれてしまったからだ。
チュージ「じゃ、今回は地下10階までだな」
地下7階を進む獣人4人パーティ。
ダンジョン内探知に優れた者2人
魔法使い1人
剣士1人
理想的なパーティ。
だが今回はなにかおかしい。
それはみんな感じてるはずだ。
モンスターとの遭遇が少ない。
それにダンジョン内が静かすぎる。
そして地下に潜れば潜るほど現れる謎の階段。
普通逆だろ?
工事の進んでるダンジョン浅層のほうが階段が多いはずだ。
誘いこまれているのか。
それとも前のパーティが階段作っていったか?
いやないな。
止めようこんなに考えるのは。
10階まで潜ってお宝ゲットで帰る。
みんなハッピー
これでいい。
地下8階 ついにここまできた。ここから下はダンジョンが広い。
大型モンスターも3mを超えるやつも増えてくる。
リアン「あれ?地下9階に行く直通ルート外したみたいです」
ハムスター型獣人リアンだ。
暗い所と索敵が得意だ。回復魔法も長けている。
イッカク「また突き当りか。ああさっきの曲がり角を左だったか」
サイ型獣人イッカク。こいつの皮膚は固く角は岩を貫く。
冒険者ギルド1のパワーファイター。剣の腕もいい。
ウーター「まて。この突き当りはもしや。召喚獣 灯火スライム」
オランウータン型獣人ウーター。
魔法、召喚、回復、アシストなんでもござれの賢人魔法使い。
召喚陣から体内に火を灯したスライムが出てくる。
突き当りの影になっているところを照らし進んでいく。
ウーター「影に隠した通路。期待できるな」
隠し通路を進む。
チュージ「おい臭くねえか」
リアン「奥から腐敗臭がしますー。」
そして最奥にたどりつく。
イッカク「ゴブリンどもの死体が積み重なってやがる」
ウーター「進化個体もいるな。さすがは地下8階。
ゴブリンメイジ、レンジャー、こいつはスモールトロール。珍しい。
一番下はオークか。基本はホブゴブリンの死体だな。」
チュージ「こいつらの装備。中級以上の冒険者から奪った感じだな。くせえ鼻が曲がる。」
イッカク「この装備が今回の戦利品だな。」
ウーター「こいつらを殺したモンスターもいるってことだ。確認はしないとな。
予定通り地下10階へ行く。
なにもなければここに戻りこいつらの装備を頂いて帰る。いいな。」
一同「了解」
地下9階へのルートに戻る。
リアン「あー鼻がもげるかと思いました。」
イッカク「ああ。鼻が利くやつにはきつかったろうな。お、9階階段だ。」
地下9階へ降りる。
なにやら前の方が騒がしい。
地下9階、太い鍾乳洞が多数立ち並ぶエリア。
ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンドなど
様々な鉱物が採掘できる広いエリア。
ここを目指しダンジョンに潜る冒険者も多い。
天井は様々な鉱物によりきらきらと輝く。
ただ広い平地の奥で
オークと鳥人のパーティがアントの群れと戦っている。
オーク剣士「手伝え!山分けだ!」
鳥人剣士「強いの倒したら報酬はおおめにもらうぜ!」
オーク弓女「生き残ってからいいな!鳥頭!」
鳥人剣士「は。よく口が回るな。オーク女」
アントを前に一歩も引けをとらない8人。
20匹くらいか。
チュージ「加勢しよう」
一同「おう」
アント大量発生か。
横穴のような隠し通路も、ダンジョンモンスターがいないのもこいつらか。
ウーター「ポイズンアントにパラライズアント!?
進化個体も交じってるぞ!気をつけろ!」
いやいやいや。
サファイアアント、ルビーアント、アイアンアント
動きは遅いが硬い。
ほぼ単純攻撃のみで強くはない。
素材が高く売れるレア種も交じっている。
鳥人ムチ使い「ここは天国か!?稼ぎ放題だぜ!!!」
オークナイフ使い「雑魚ばっかで楽勝楽勝!!」
確かに山分けでも充分におつりがくる。
持ち帰る方法を考えなきゃな。
しかもオークも鳥人もなかなかのレベル。
中級冒険者のレベルは越えているだろう。
こいつらが仲間なんて頼もしい。
ウーター「出たな」
オーク魔法使い「群れのボスか」
ジャイアントクローアント。
爪攻撃に特化したアリ。
体長は3mを超える。
爪で裂傷すると血が止まらなくなる。
鳥人回復術師「コンディションプロテクト サークル!」
魔法陣内の味方を一定時間 状態異常にならなくするスキルが発動する。
オーク剣士「ありがたい」
鳥人剣士「つけとくぜ」
オーク魔法使い「バルクサークル!」
さらに魔法陣内の味方の攻防を一定時間1.5倍にするスキル。
チュージ「うちもやっとこうぜ」
ウーター「わかっとる。エンチャント ライトソード」
さらに武器に光属性を追加する。洞窟内には光弱点モンスターが多い。
オーク剣士「さてやるか!バルク!」
イッカク「獣化 全身強化!」
鳥人剣士「鳳凰の舞!」
どのパーティもエースが強い。
パーティメンバーからの強化魔法、さらに自分で強化上乗せ。
ジャイアントクローアントも強いが
この3人を止められるモンスターもそういないだろう。
オーク剣士「はあはあ。雑魚ばかりだったが最後のはまずまずだったな。
鳥に獣よくやってくれたな。」
鳥人剣士「ふーー。おうオークのおっさんも強かったぜ。しかしアリ型は防御が硬いな。」
イッカク「はあはあ。少し休憩してから素材分けを話し合おう」
全員ずいぶん疲弊した。
乱戦はそれだけ集中力がいるってことだ。
ポイズン、パラライズがいるってのもあるが。
1発くらったらそのまま集中狙いされかねないからな。
チュージ「!?おっと討ち漏らしか? そこの鐘楼の裏だ。ん?でかいな。」
鐘楼の裏側、そこには大きな縦穴が開いていた。
リアン「こんなところに大穴!?ありませんでしたよね!?前回までは!!」
オーク弓女 ひゅっ
哉を弧を描くように放つ。
カツン
穴の奥底で跳ね返る音。
オーク弓女「地下13階から15階くらいまでの深さだよ」
チュージ「でかいのがすぐにでも登ってくるぞ!1匹じゃない!」
リアン「これはまた群れです!第二波ですよ!」
オーク、鳥人、獣人パーティかまえる。
オークナイフ使い「おいおいおい、数がやばいんじゃねえか。地響きがするぞ!」
オーク魔法使い「逃げる準備を。俺が鑑定する。鑑定のレベルは期待するな。」
オーク剣士「ムウの鑑定を援護する。イル、ナキ先に逃げろ」
オーク弓イル 「了解、無理するなよラタ隊長」
オークナイフ使いナキ「了解した」
ウーター「全体速度強化する!ソニックライズ!」
イッカク「俺はアリの速度にゃ追いつけねえ。俺が殿だ!」
ウーター「引きながら攻撃しろよイッカク。魔法で援護するがMP切れが近い」
リアン「イッカクさんに回復魔法をかけながら引くよううに逃げましょう」
チュージ「素材は捨てろ!身軽さ重視だ!」
鳥人剣士「うちは全員逃げだ!行くぞ!ってあれヒエ?」
鳥ムチ ヒエ「オーツ隊長!素材回収しました!」
鳥剣 オーツ「仕事人かよwOK!ムギ、シード戻るぞ」
鳥回復 ムギ「シードはもうあそこです」
鳥魔法 シード ダンジョン入り口で親指を立てる。大量の素材を身体中につけている。
オーツ「あー優秀だよ!うちのは!」
地響きが止む。
一瞬の静寂の後に次々とアントが顔を出す。
ジャイアントポイズンアント、ジャイアントパラライズアント、
ジャイアントクローアント、ジャイアントメタルアント、ジャイアントサファイアアント、
ジャイアントルビーアント
アントリーパー、アントスナイプ、ポイズンフライアント、パラライズフライアント、
ダークアント、スモールアントナイト、ポイズンアントナイト
エメラルドアントナイト、ダイヤモンドアントナイト
アントナイトJ、アントナイトQ、アントナイトK
さっきのボス級の群れ。
誰もなにもいわずただ出口へと自然と体を向け走り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます