第30話 クロックVSグリーンアント

俺とバンで獣人化した。

パーティのピンチだ。

赤羽とカティを先に行かせる。



先に潜ったパーティがうまくあいつらを拾ってくれるといいが。



グリーンアントは強い。

少し目を離したら魔法を放つ。

こいつからはそんな気配を感じる。

だがこいつの魔法の形成スピードは遅い。

組みついて集中させなければこいつは魔法を出せない。

せめて赤羽とカティが見えなくなるまでこいつを抑える。



雑魚どもの毒針は刺さらない。

刺さったとしても毒や細菌には耐性がある。生まれつきな.



ワニ型モンスターは沼地に住む。

汚い沼地からの雑菌にさらされ生きている。

少しの傷で化膿し細胞が炎症する、なんてことはないんだ。

人間と違ってな。



俺の祖先はどっかの誰かはワニという生き物だった。

それがモンスター化し、進化を繰り返し、獣人となった。

その血が特性が能力が俺にも受け継がれている。


獣人は様々なモンスターの混成からなる。

俺の母ちゃんはオオオオハシの鳥人、

そして父ちゃんは牛の獣人。

母か父かどちらかの親の祖先にワニの獣人がいたんだろう。

覚醒遺伝ってやつだな。


そういうもんなんだ、獣人ってやつぁ。


こんな1世代2世代で進化しただけのアリごとき大した障害にゃならねえ。



赤羽とカティはもう見えなくなったな。



「そろそろやるぞ、バン!!」



「おうよ!」


大量のアリを相手にしながら返事をするバン。



クロックの右腕だけがさらに巨大化、鋭利な爪が発現する。


部分獣化強化 アリゲータークロウ




クロックはグリーンアントを突き放し、右腕の爪で攻撃する。

グリーンは危険を察知しぎりぎりで避ける。

離れたところで魔法を発動。


まずい、魔法攻撃。止められない。

攻撃がくる。

俺か。

いや無警戒のバンか。




やつが取った行動はどちらでもなかった。

やつの後ろに「土厚壁(どこうへき)」



やられた。

こいつに勝った後もここから出られない。



だが今のが最後のチャンスだったと思え。



「完全獣化」



クロックは完全に巨大なワニのような形に変化した。


リスクはある。

だが一瞬の発動ならリスクも少ない。


グリーンが魔法を放った後、土厚壁が完成するまでの間。

変身し攻撃する。


喉元に向かい頭から飛ぶ。


失敗だったな。

後ろは土壁、お前の逃げ道もなくなった。


グリーンの頭と胴体の間、クロックの牙が食い込む。


そしてそのままの勢いでクロックが高速回転する。


「デスロールダンス」


グリーンの頭と胴体が分離する。



頭をかみちぎってやった。終わりだ。



ん、なにか変だ。違和感。



頭部を失い、俺が通り過ぎた身体。


身体だけが動いている。



最後の悪あがき。



この小さな空間のあらゆるところから石弾、泥玉、石の槍、土の槍

あらゆるものが飛んできた。




そしてこの空間はくずれ俺たちは生き埋めになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る