第8話 モール戦4
まもるの手が俺に触れた瞬間だった。
頭の中に声が響く。
『条件を満たしました。未開放スキルが解放されました。』
未開放スキル?
確認する間もなく、車体が浮く。
後方を見る。オーガの上半身が車に投げ込まれたことが分かった。
浮いた身体で前方を見る。黒スーツの男が魔法陣を展開。
起こした突風ではるか前方へ車ごと吹き飛ばされた。
目を開ける。銃声が遠くから聞こえる。
おそらくまもるが戦っている。
全身が痛む。
みんな無事だろうな?
痛みを我慢して立ち上がる。
はるか前方に吹き飛ばされたことがわかったのは、周囲の砂埃の先、遠くにモールの屋上部分だけが見えたからだ。
車はモールとは反対方向にあるのが分かる。
砂埃の先にうっすらと炎をあげている。
戦闘音はモール側からだ。
モールからの1本道からはずれ、一面畑だっただろう場所に俺は吹き飛ばされ転がってきているようだった。
足を引きずりながら1本道に戻る。
道に戻るとしょうとたかしが重なって倒れていた。
「しょう!たかし!」
咄嗟に亀の甲羅の様な大盾で防いだようだ。
あれだけの石や砂利の中よく耐えた。
「しゃがんで甲羅かぶってたから大丈夫」
しょうはそう言うと意識を失った。
一方でたかしはモールの中でよほどの戦闘があったのか服はやぶれ腹をおさえるようにしていた。
特に他に外傷があるようには見えない。
殴られて内臓をやられでもしたか。
2人を近くの茂みに移動させる。
最低限この砂埃は防げるはずだ。
「赤羽さん?よかった。」
茂みの先には先にりんちゃんが隠れていた。
「ケガはないか」
「うん。治療魔法が少し使えるから」
「そうか。2人をまかせられるか?」
「うん。見てみる。」
「雪谷さんは?」
「唯おねえちゃんはまもると一緒にいると思うけど」
自信がなさげに下を向く。
パンフレットにはまもると雪谷さんの位置は表示されていない。
モールの中の地図しか描かれていないからだ。
「すぐ雪谷さんとを連れて戻る」
「うん。ここはまかせて」
片足を引きずり
無様にも右手に地魔法LV1ストーンを装着した
俺が行ったところで役に立てるかは分からない。
ただあの規模の魔法をこんな見通しのいいところでもう一度撃たれたら・・・。
逃げ場はない。今度は車もない。
モールへの1本道を戻る。
1m先も見えない道路を一歩ずつ、だが早足で。
もう戦闘音は聞こえなくなっていた。
踏み込む足になにかがぶつかる。
驚いて下を見ると
小銃をもった腕が転がっていた。
涙と声を押し殺す。
近くにやつがいるかもしれない。
しゃがみながら周りを見回す。
いた。
いや影があった。
だが雪谷さんともまもるとも身長が、影の大きさが違う。
落ちている腕から小銃を引き離す。
右手にはストーンが付いている。
左手で小銃をもつ。
利き腕ではないので充分に近づいてから撃つ。
覚悟を決め、影のもとへと身を低くして向かう。
小銃を構え近づく。
影の正体はまもるだった。
長い槍の様なもので地面ごと串刺しになっていた。
「よお。生きてたか赤羽。」
力なく言うまもる。
「!?今、抜いてやる!」槍に触れる。しっかりと地面に突き刺さっている。
「いてて。揺らすな痛いから。これ10mくらいあるから抜けないよ、お前じゃw」
茶化していう顔に生気がない。
「すぐりんちゃんを呼んでくる!」
「唯ねえちゃんを援護して。頼んだぜ。」
残っている右手で早く行けと促す。
「すぐ戻る」
俺はまたそう約束してまもるに背を向けた。
地魔法LV2を獲得しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます