第6話 モール戦2

 晩御飯を食べている俺たちのちょうど中心にあった鍋が宙をまう。

鍋の置いてあったテーブルは無残にも真っ二つになっていた。

黒田さんがとびかかるのと同時に、次に動いたのは意外にもきれいなお姉さんだった。

「あれはやばい」

そういうと俺と中学生くらいの男女、それと小学校5.6年生くらいの男の子をつかんで走り出した。




5人目 20歳後半くらい?雪谷さん

「私、雪谷。転生者なの。向こうじゃ獣人だったから力あるのよ。」

ああすごい力で引っ張られているのが襟首で分かる。

というか人を引っ張っているにもかかわらずスピードがすごいぞ。



6人目 小学生男子5.6年生くらい? しょう

「僕は自分で走れるよ!!」

雪谷さんの手から抜け出すとぽっけに手をつっこみ後ろ向きに走り出す。

「あのオーガ強そうだけどクロちゃんも強そう!」

「赤羽は弱そうだけど(笑)」

年上にむかってなまいきだぞ

と言おうと思ったけど実戦経験ほぼ0なので言い返せない。



7人目 中学生1.2年くらい? まもる

いつのまにか雪谷さんの手を抜けていた男の子がもう一人いた。

「黒田さんが仕留めそこなったらあのオーガ俺たちで狩ろうぜwしょうと俺なら余裕っしょw」

「おっけー。切っちゃうぞ(笑)」

「危ないからやめなさい」

「えーw経験値欲しいしw」

「あはは」

雪谷さんの静止を茶化す。

この二人は止まらなそうだ。



8人目 中学生女子1.2年くらい? りんちゃん

俺とは反対側の手で抱えられている少女がなにやらモールのパンフレットを見ている。

「次、左に曲がって。

右には小さいのが何体かいる。

大きいのはたぶんあのオーガだけ。

赤羽さんもスキルあるなら教えて。」

彼女の能力は地図を見ると探しものの位置が分かる能力らしい。

「一応地魔法とか覚えたみたいなんだけど」

「ああそうじゃなくて左手のバンド触りながら鑑定って言ってみて」

右手で左手のバンドを触る

「鑑定」



ステータス

赤羽LV2

HP 10

MP 10

攻撃 3

守備 3 

魔法攻撃 2

魔法防御 1

素早さ 2


スキル:地魔法LV1 射撃補正LV1 命中率上昇LV1 肉体強化(M)LV1、【未開放スキル】

称号:旅人



頭の中に浮かぶステータス画面。

自衛隊と車に乗っている時に色々試していて結局できなかった鑑定。

こんなにあっさりできるとは。




「こんな感じのでましたけど?」

「え、赤羽よわ(笑)」

「ほぼ一般人で草ww」

「・・・弱いわね」

「未開放スキルが分かれば・・ね・・」


中学生女子にすらフォローされる始末。

一応、ゴブリン一匹倒したんだぞ!








「あ、前。雑魚にぶつかる。」


「おっけー!」


しょうが前にでる。

それぞれ狼に乗った2体のゴブリンとすれ違う。


瞬間


2mほどの太刀が2体のゴブリンの首を同時にはねる。


しょうの洗練されたかのような一振り。


驚き振り向きながら立ち止まる狼の腹に

雪谷さんの蹴りが入る。


吹き飛ばされた狼がもう一体の狼にぶつかりそのまま壁に叩きつけられる。


よろつきながら立ち上がる狼。


間髪を入れずその眉間に銃弾が放たれる。



たたた

たたた


いつのまにかまもるは小銃を手にしていた。


「2キルきたこれww」

「僕も2キルだもん」

「さわがないで。銃声であつまってくるわよ!移動!」


俺はいつのまにか雪谷さんに床に降ろされていた。



探知能力のりんちゃん

一瞬で武装したしゅん、まもる

冷静に狼を無力化した雪谷さん


このパーティは強い。


この人たちを鑑定してみよう。

左手のバンドに触れながら「鑑定」



雪谷唯LV21 固有スキル獣人強化【写し】

藤しょうLV32 固有スキル武器錬成【狩りゲー】

渡まもるLV34 固有スキル武器錬成【FPS】

花村りんLV12 固有スキルおっかけ


「レベルたっか」


思わず口にでた。


「え?他人鑑定できるの?」

雪谷さんが首をかしげる。

「ステータスはみれないですけどレベルと固有スキル名はみれましたよ?」

「普通レベル差あったら鑑定自体できないんだけどね。おかしいわ。」

「バンドの能力2,3個あんじゃね?w」

「僕のバンドとも色違う」

「お金持ちの国に転移したのかもしれないね」

中学生女子はそういうと俺の耳元で

「私のスキル名言わないでね」

と釘をさす。

ああ声優オタか若手俳優オタなのかな。



固有スキルには個人の性質が強く反映されるようだ。

つまり俺の固有スキルはきっととてつもなくすごいものに違いない。そう思いたい。






りんちゃんの指示で3階に上がり雪谷さんの持っていた、もとい尻ポケットに無理やり突き刺さっていたペットボトルで喉を潤す。回し飲みだ。



「水2本しか持ってこれなかったけど」

「ありがとなすww」

「ありがとー」

「喉乾いてたの。一応徘徊してるゴブリンと逆方向に逃げてるから絶対にみつからないよ」

「りんちゃんの能力はすごいわね」

一息付く。遠くで黒田さんとオーガの戦闘音が聞こえるのを感じる。



「赤羽地魔法見せてー」

「どうやんの?」

「まじ?w地魔法っていってみ?w」

「地魔法」


地魔法LV1 ストーン



おおなんか画面でた。頭の中に。


「魔法名をいうのだw」

ふ。

ついに俺のステータスにはでないオーバースペックチート魔法がさく裂してしまうのか。


あれ?威力弱すぎって意味ですよね?

とか

またなにかやっちゃいました?

とか言う準備は出来ている。

皆の物震えるがよい。


手を壁にかざす。

満を持して唱える。

「地魔法!!!!!!

ストーン!!!!!!

 あれ?でない」

右手が重い。手を見ると俺の手には岩が握られていた。

否。

岩がくっついていた。

えええ?

「ぶふぉwwwwなwwんwwでww」

「赤羽なにそれ(笑)」

「初めて見る状態ねw」

「魔法初めてだからじゃないw」


そのあとも初めての魔法口座をみんなに習ったが、いまだ俺の右手には岩がくっついたままだ。



そして談笑する俺たちの目の前にゲートが現れた。

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