第2話 帰宅

 学校があった場所には巨大なクレーターができていた。

底が見えない。校門だけがあってその先は完全に穴になっている。



 他の生徒や先生はどうなったんだろう


 学校にはまだたくさんの人がいたはずだが俺も含め5人しか異世界転移していなかった。

別の部屋に転移しているかも

とか

あいつらもいまごろ帰らされているかも

とか考えたがとりあえず帰宅することにした。


途中スマホでSNSをみようとしたが通信障害と表示されてみれなかった。


自宅までは徒歩20分。

校門から延びる坂を下り、さびれた屋根付き商店街を突っ切って曲がったところだ。


あれだけの大きな穴が空いたら大きなニュースになっているに違いない

それにしても救急車もマスコミも警察も来ていなかったな

クレーターができてから時間があまりたってないのかな

なんてことを考えながら商店街を歩く。


いつもならさびれていても何店舗かは営業してるんだが今日はシャッターが全て閉まっている。

24時間コンビニもだ。コンビニはたまたま改装中か?




我が家につく。

濃い緑色の車が家の前にあってそこから太いコードが家の裏につづいていた。


電気屋か?


不審におもいながらも玄関を開ける。


玄関にはエプロンをした母がいた。母が無言で抱き着いてきた。


「ただいま」「おかえり」

短い挨拶をすます。

「夕ご飯出来ているから食べて」



高2にもなって母に抱き着かれるとは若干恥ずかしい。


まだ5時にもなってないと思うのだがお腹がすいているのでご飯を頂く事にする。


「いただきます」


テレビをつけニュース番組にする。母がしぶい顔をした。


海外の戦争のニュースが流れる。

近所の情報が知りたいんだが。


「母さん、学校の事知ってる?」

「それは・・・言っちゃいけないことになってるの。ごめんね。」



なにかを知っているらしい。

まあニュースをみればわかることだ。

手料理をたべながら知りたいニュースを待つ。


ニュース速報

ここでアメリカ大統領から緊急宣言です。


本日午後3時の攻撃をもって第四次世界大戦状態にあることを宣言する。我が国は徹底抗戦する。


は?

攻撃?

誰が誰を?

第3次じゃなくて?


疑問がたくさん浮かんだ。


その後ろで母が「ええ。帰ってきてます。」と何者かに連絡しているのを聞き逃さなかった。


すると自衛隊のような恰好をした男たちが家に入ってきた。


「ここは危険ですのでご移動お願いします」


いや自宅なんですけど。


「詳しくは本部のほうでご説明させていただきます」


母も従いなさいと目くばせする。



屈強な男たちに連れられ食事も半端に外に出る。

家の前のさっきの深い緑の車に乗せられる。


ひょいと荷台に持ち上げられたと思ったら両サイドには硬そうな椅子が並んでいた。


こんなの映画でしか見たことない。自衛隊のやつじゃん。


母は先頭を走る車両、俺は後続の車両に乗せられた。

座ってみると見た目通りかたい椅子に座り、リュックを背負うようなシートベルトをつけ、本部なるところに出発する。

流れていくいつもの街並みをポストくらい小さい窓から眺める。

今朝家を出てどうしてこうなった。などと余計なことをかんがえてしまう。




突然、衝撃が走り車が横転する。



右側からなにかぶつかったような衝撃だ。



自衛隊がなにやら騒いでいる。

はいつくばって車の外にでるとすでに母を含め全員、車を出ていた。

母・自衛隊員と大きい狼に乗った肌の緑色の人型の生き物が向かい合っていた。

オークだ。その後ろに3匹のゴブリン、それぞれが一回り小さい狼に乗っている。


まさか転移先じゃなくこっちの世界でモンスターをみることになるとは思わなかった。



「転生者だな。」


オークがしゃべると同時に手を振り下ろす。

手刀のような大きな炎が車にたたきつけられる。



間一髪、車から抜け出す。


母と自衛隊1人、俺と自衛隊2人に分断された。








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